国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(JAXA)、茨城県および国立研究開発法人森林研究・整備機構 森林総合研究所(FFPRI)は、2021年1月29日に、森林管理業務への衛星データの利用を目指し相互に連携協力するための三者協定を締結したと発表した。

森林が持つ国土保全や水源のかん養などの様々な機能を持続的に発揮させるためには、森林資源量を把握して計画的に森林を整備する必要があるという。

近年、茨城県をはじめとした自治体において、森林を管理するための様々な情報をクラウド上で一元的に管理するシステムである森林クラウドの普及が進み、情報共有が効率化される一方で、伐採をはじめとした森林の変化を把握するための体制の不足といった課題もある。

JAXAの陸域観測技術衛星2号「だいち2号」(ALOS-2)をはじめとする地球観測衛星は、宇宙から広範囲なエリアを継続的に観測できることから、人の立ち入りが困難な場所を含め広域での森林変化の継続的な把握が可能。

森林クラウド上で伐採届などの行政情報と突合するなど、衛星データによる森林変化情報をもとにした伐採地情報の利用手順を確立することにより、無届け伐採を含む伐採地を効率的に把握することができ、また伐採後の造林促進による土砂災害防止など、森林機能の維持への貢献が期待されるとのことだ。

同協定に基づき、JAXAは、伐採地情報をはじめとした、衛星データによる森林変化情報の提供を行うとしている。

茨城県は、JAXAが提供した森林変化情報を元に、伐採地情報の活用など、森林管理業務の効率化及び高度化のための衛星データ利用の有用性を検討。

また、FFPRIは、衛星データによる伐採地情報の利用手順の標準化など、衛星データを森林管理業務で利用するための研究を行うとのことだ。

今後、JAXAと茨城県、FFPRIは衛星データの活用を通じて、自治体の森林管理業務における課題の解決に貢献していくとしている。