[28日 ロイター] - 米個人投資家の最近の取引過熱の舞台となったネット取引サービスの1つ、ロビンフッドがゲームストップやAMCエンターテインメント、アメリカン航空などの銘柄の取引を制限したことが、一般顧客や芸能人、政治家の間で波紋を呼んでいる。

ロビンフッドは市場のボラティリティーや情報の周知徹底の必要性を理由に挙げ、このところ急激に値上がりしていたこれら銘柄の取引を停止するとブログで発表、特定の証券の取引に必要な証拠金も引き上げた。

ただ、同社はその後の投稿で、29日から対象銘柄の購入を限定的に認める方針を示した。

取引を制限された各銘柄は28日の取引で急落。ゲームストップは44%安で引けた。ただ、ロビンフッドからの最新発表を受けて時間外取引では急反発している。

ツイッターには個人投資家によるロビンフッドへの批判が殺到。ユーザーの一人は「利用者に自由な取引を提供するとの約束を果たすよりも自社が炎上するのを選ぶなんて狂っている」と投稿した。

インタラクティブ・ブローカーズなど他のネット証券も取引制限を実施したが、ロビンフッドが批判の集中砲火を浴びている。

2人の顧客は取引制限を巡り損害賠償を求めてロビンフッド・ファイナンシャルを提訴した。

民主、共和両党の議員もロビンフッドを批判。

民主党のオカシオコルテス下院議員はツイッターで取引制限について、「ヘッジファンドが自由に取引できる一方で、個人投資家の株式購入を妨げる」措置であり、「容認できない」と批判。自身が委員を務める下院金融サービス委員会での公聴会開催に支持を表明した。

共和党のクルーズ上院議員も、オカシオコルテス議員に「完全に同意する」とツイート。電気自動車大手テスラの創業者、イーロン・マスク氏も「全くその通り」と書き込んだ。

芸能人からも批判の声が出ている。ラッパーのジャ・ルールはロビンフッドの行為は「犯罪だ」とツイートした。

調査会社フィンテック・トゥデイのイアン・カー最高経営責任者(CEO)は「これはロビンフッドにいつ起きてもおかしくない問題だった」と指摘した。

新型コロナウイルス感染拡大を受けてオンライン取引の利用が広がり、ロビンフッドの事業は絶好調となっていた。アプリ利用者は1300万人を超えている。一方で、規制当局は同社が個人投資家の高リスク取引を助長している可能性があるとして監視を強めている。ロビンフッドではまた、過去1年にシステム障害が何度も発生している。