[28日 ロイター] - 米アップルのティム・クック最高経営責任者(CEO)は28日、ソーシャルメディア上の分断や誤情報拡散を批判した。特定のアプリを名指しすることは避けたものの、このところ表面化しているフェイスブック(FB)との対立が深まる見込みだ。

クック氏はプライバシーやデータ保護などをテーマにした会合で、一部のアプリは過度に多くの個人情報を収集し「エンゲージメント(投稿への反応)率が高いという理由だけで、陰謀論や暴力的な扇動」を優先していると批判。

「アルゴリズムによって虚偽情報や陰謀論の拡散が助長されている今、できる限り多くのデータを収集する狙いであらゆるエンゲージメントを良しとする理論に、もはや目をつぶることはできない」と述べた。

フェイスブックを名指しすることは控えたものの、両社の間ではこのところ対立が表面化している。

アップルは、iPhone向けの追跡型広告を巡るプライバシー保護強化機能の導入に向けて準備しており、デジタル広告業界の関係者は、追跡に同意しない利用者が出てくると予想している。

アップルは自社のアプリ配信サービスで提供する有料アプリを増やしているほか、自らデジタル広告事業も手掛けていることから、フェイスブックは反競争的行為で同社を批判している。

フェイスブックのマーク・ザッカーバーグCEOは27日、アップルには「自社の支配的な地位を利用してフェイスブックや他のアプリの機能に干渉する動機が大いにある」と述べている。

クック氏は28日、ワクチンに対する社会の信頼を低下させ、ユーザーに過激派グループへの参加を促すようなソーシャルメディアのあり方も批判した。

「こうした姿勢が、分断、信頼失墜、そして暴力という代償を伴わないふりをするのはやめるべきだ」と訴えた。

同氏の発言を受けて、フェイスブックは声明を出し「アップルは『アップストア』支配を利用して反競争的行為を行い、アプリ開発者や中小企業を犠牲に自社の業績に恩恵をもたらしている」と批判した。