[東京 28日 ロイター] - トヨタ自動車グループ(日野自動車とダイハツ工業を含む)が2020年の世界販売台数で5年ぶりに年間首位へ返り咲いた。4年連続で首位だった独フォルクスワーゲン(VW)グループは2位に転落した。トヨタは新型車の販売が世界的に好調で、VWに比べて新型コロナウイルスの悪影響が軽微にとどまった。

トヨタは28日、20年の世界販売が前年比11.3%減の952万8438台と発表。スポーツ多目的車(SUV)「RAV4」など新型車が寄与したほか、コロナの悪影響からいち早く脱した中国の急回復などが奏功した。トヨタが年間世界販売でトップとなるのは15年以来で、16年からはVWが首位を維持していた。

VWは同15.2%減の930万5400台だった。地盤の欧州で感染防止のための都市封鎖が実施され、外出自粛や一時休業が響いたほか、同社最大の販売台数を誇る中国でも不振だった。

<中国で明暗>

トヨタは、中国を除く主要市場で前年を割り込んだが、北米が5月以降、徐々に回復してきたほか、中国販売は10.9%増の179万7487台と大きく伸びた。

一方、VWの販売は主要市場すべてで前年を下回り、中国での販売も384万9000台と9.1%減少した。中国に続く同社2番目の販売規模の西欧でも2割以上の落ち込みとなった。

19年に3位だった日産自動車、仏ルノー、三菱自動車の3社連合の20年の世界販売台数は23.2%減の779万8919台だった。

<国内生産「300万台規模の体制堅持」>

トヨタの豊田章男社長は、かつての大量リコールなどへの反省から、台数規模拡大を追わず、車の品質や魅力の向上を最優先している。ただ、雇用や技術力、仕入れ先などを守り続けるために必要な規模として国内生産は300万台の維持を掲げている。

コロナ禍で、トヨタ単体の20年の国内生産は14.4%減の292万2605台と300万台を下回ったが、同社は「300万台規模の人員・体制を堅持できている。数字よりその体制を築いていることに意味がある」(広報担当者)との認識を示した。

*内容と写真を追加しました。

(山光瑛美、白木真紀 編集:青山敦子)