[27日 ロイター] - 米電気自動車(EV)メーカーのテスラが27日発表した2020年第4・四半期決算は、利益が市場予想を下回った。2021年の納車目標を明確にしなかったことも嫌気され、株価は引け後の取引で4.4%下落した。

テスラの株価は、同社が利益を確保しながら急速に成長するとの期待などを背景に、過去12カ月で700%近く上昇した。

21年の納車台数について投資家は、20年の目標50万台を大幅に上回る水準に設定されると期待していたが、テスラは曖昧な見通しを示すにとどまり、具体的な目標は提示しなかった。

同社は声明で「納車台数は今後数年にわたり年平均50%の伸びを達成する見通しだ。これを上回るペースで増加する年も出てくる可能性があり、2021年はそうなると見込んでいる」とした。

イーロン・マスク最高経営責任者(CEO)は昨年10月の決算会見で、21年は84万─100万台納車を目指すかとアナリストに質問されたのに対し、目標は「その辺りだ」と答えていた。別の幹部も、来四半期にガイダンスを示すと述べていたことから、投資家の間では期待が高まっていた。

テスラが今月初めに公表した第4・四半期の納車台数は18万0570台で、四半期の過去最高を更新した。20年の納車台数は目標の50万台にあと一歩届かなかった。

インベスティング・ドット・コムのシニアアナリスト、ハリス・アンワル氏は「投資家は予想を大幅に上回る決算と2021年の高い納車目標を期待していた」と語った。

27日の決算会見前に投資家がオンラインで寄せた質問では、バッテリーの増産計画や自動運転機能に絡む利益を計上する時期の見通しなど、成長ペースに関する内容が目立った。

テスラは自動運転のためのソフトウエアアップグレードを8000ドルで販売しているが、消費者への幅広い提供はまだ実施していないため、大規模な売り上げ計上には至っていない。

<競争激化の流れ>

第4・四半期決算は、マスク氏への株式ベースの報酬支払いを除いた純利益が9億0300万ドルと、前年同期の3億8600万ドルから増加した。ただ、リフィニティブがまとめたアナリスト予想の10億8000万ドルは下回った。

売上高は107億4000万ドルで、アナリスト予想の104億ドルをやや上回った。

納車台数が総じて増加する一方、1台当たりの平均販売価格は前年比11%低下した。価格が比較的低めの「モデル3」や「モデルY」を選択する消費者が増えている。

テスラは昨年、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)や経済への打撃にもかかわらず安定的に販売実績を積み、他の多くの自動車メーカーが赤字となる中でも四半期決算で黒字を達成。S&P総合500種指数への組み入れを果たした。

中国では生産拡大に取り組み、現地生産の多目的スポーツ車(SUV)「モデルY」の販売も開始。モデルYの価格設定についてアナリストは、従来の高級車市場の枠を打ち砕くものだとしている。

ただ、上海蔚来汽車(ニオ)や小鵬汽車(Xpeng)など現地EVメーカーとの競争激化にも直面する。

独ベルリン近郊や米テキサス州ではEV・バッテリー工場の建設を開始した。テスラはこれについて27日、それぞれの工場から予定通り年内に出荷を開始する見通しだと述べた。

自動車業界では、温暖化ガス排出削減目標を満たすとともに、テスラに対抗しようとEV開発が加速している。

複数のメーカーが今年、EVの新車種を発表する予定で、米フォード・モーターや独フォルクスワーゲン(VW)はテスラのモデルYと競合するSUVを発表する。ゼネラル・モーターズ(GM)は、テスラが今後発売する「サイバートラック」に対抗するEV版「ハマー」を投入する計画だ。

競合他社のEV販売が増加すれば、テスラが他の自動車メーカーに対する温暖化ガス排出枠(クレジット)販売で稼ぐ収入も減少することになる。

第4・四半期の自動車事業の売上高のうち4%に当たる4億0100万ドルは、このクレジット販売によるものだった。

*内容を追加しました。

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