国際オリンピック委員会(IOC)は26日、新型コロナウイルスの影響で開催への懐疑論が出ている東京オリンピック(五輪)・パラリンピックで、出場選手や関係者に訪日前のワクチン接種を推奨すると明らかにした。義務化はしない。

医療従事者や社会的弱者が優先としつつ、接種は「安全な大会に寄与すると同時に日本国民への配慮」とした。

IOCは五輪に参加する206カ国・地域の接種状況を把握するため、各国内オリンピック委員会(NOC)に2月上旬をめどに報告を求める。NOCとの協議では「既に多くの国の政府が(協力に)前向きな決定を下している」という。IOCは世界保健機関(WHO)や製薬会社と連携し、各国・地域への公平なワクチン供給に向けて支援を約束した。

IOCは、国連総会の昨年の決議でコロナ禍におけるスポーツの価値や五輪・パラリンピックの意義が強調されていると指摘。「選手は重要な模範であり、接種は個人の健康だけでなく、地域社会の連帯や他者の健康への思いやりという強力なメッセージになる」と訴えた。

WHOが25日の記者会見で五輪選手への優先接種に否定的な見解を示す中で、IOCは「ワクチンが広く一般の人々も利用できるようになった場合に接種を呼び掛ける」とした。(共同)