[ウェリントン 26日 ロイター] - 中国とニュージーランドは26日、既存の自由貿易協定(FTA)を強化する協定に署名した。中国はニュージーランド産の農産物などに市場を一段と開放する。

ニュージーランドのアーダーン首相は26日の記者会見で協定の調印を確認し、世界的な新型コロナウイルスの流行と経済危機の中でFTAを強化したことの重要性を強調した。

両国間のFTA強化については数年間にわたって協議が行われ、2019年11月に合意していた。中国が正式に国内手続きを終えたことで署名に至った。

ニュージーランドのオコナー貿易相と中国の王文濤商務相が「バーチャル署名式」に出席した。

ニュージーランド政府は今回の協定について、中国との既存のFTAを新しくし、今後10年間も目標に沿うようにするものと指摘した。中国向けの輸出が容易になり、規制順守のための費用が年間数百万ドル減少するとみられている。

オコナー氏は声明で、約30億ニュージーランドドル(21億6000万米ドル)規模の中国向け紙・木材輸出は99%以上関税が撤廃されると説明した。

協定は、水産業や林業など一次産業の輸出業者に利益をもたらす。乳製品については既存の条件が維持され、ほとんどの製品は1年以内、粉ミルクは3年以内にすべてのセーフガード関税が撤廃される。

オコナー氏は「これにより、2024年1月1日までに中国向けの乳製品輸出はすべて無関税となる」と指摘した。

ニュージーランドは2008年に先進国としては初めて中国とFTAを結んだ。中国は現在、ニュージーランドの最大の貿易相手国で、年間の双方向の貿易額は320億ニュージーランドドル(215億8000万米ドル)以上となっている。

中国外務省の趙立堅報道官は会見で「FTA強化は、多国間主義および自由貿易の支援に向けた両国の確固たる決意を示している」と述べた。

中国の習近平国家主席は25日、世界経済フォーラム(WEF)主催のオンライン会合で、孤立主義と「新冷戦」論を批判。貿易や投資、技術交流に係る障壁を撤去すべきと述べていた。

*内容を追加しました。