[東京 26日 ロイター] - 菅義偉首相は26日午前の衆院予算委員会で、新型コロナウイルス対策への国民の不満の根源について質問され、「必要な医療体制ができていないことに国民が不安を感じている」と述べた。

辻元清美委員(立民)に対する答弁。

辻元氏は委員会で審議中の2020年度第3次補正予算に計上されている観光支援策「GoToトラベル」の予算を医療に回すべきとただした。菅首相は「3次補正には、医療について必要な予算はしっかり確保させている。GoToや国土強靭(きょうじん)化対策は経済対策という中で予算計上しており、いずれにしろコロナ対策に全力で取り組むのは当然のことで、内閣を挙げて対応したい」と回答した。

<感染症法、知事会提言踏まえ罰則>

感染症法改正案に刑事罰を盛り込んだ理由に関して首相は「(感染者の)中には、自治体からの協力要請に応じていただけない場合があり、全国知事会からの罰則を求める提言を踏まえた」と述べ、理解を求めた。

辻元氏に先立ち質問した篠原孝委員(立民)は、昨年9月の就任後は高かった内閣支持率がその後急落し、支持と不支持が逆転している点について首相の見解をただした。菅首相は「謙虚に受け止める」と述べ、理由に関して「世論調査やテレビ・新聞では、やはり総じてコロナ対策に対する批判が多い」と認めた。さらに、「私自身、昨年9月に首相に就任して、今日まで感染拡大を防ぐために何をなすべきか、国の責任者として専門家に相談し、対応策を行ってきたが、国民の皆様に理解いただいていない点が大きい」と述べた。その上で「感染拡大阻止のため、なすべきことを迅速にしっかり行い、これ以上の感染拡大を防ぎたい」と強調した。

<辻元氏、聖火リレーまでに五輪開催判断求める>

辻元氏は、医療体制が逼迫し、ワクチン接種に医療関係者も従事することが必要な中で、観客を入れる形で東京五輪を開催できるのか、とも質問。これに対して首相は「コロナ対策、万全・安全な体制を組む中で五輪を準備したい」と強調した。

橋本聖子五輪相は「観客のあり方について春までに決めることになっている。国内外の感染症を踏まえ、あらゆる対応が必要」と述べた。

辻元氏は聖火リレーが始まるまでに五輪開催の是非を判断するよう求めると同時に、首相が観光支援策「GoToトラベル」同様、五輪開催にこだわるリスクを指摘した。

*内容を追加します。

(竹本能文)