[東京 25日 ロイター] - 日本電産は25日、21年3月期の連結営業利益(国際会計基準)予想を前年比42.8%増の1550億円に上方修正したと発表した。4―12月期の業績が想定を上回ったことを織り込んだ。4―12月期は、新型コロナウイルス禍による巣ごもり需要や、省エネ化の流れを受けて高付加価値製品の販売が伸びたほか、原価改善・固定費適正化の取り組みも利益に寄与した。売上高は同期間で過去最高となった。

従来予想は1400億円。リフィニティブがまとめたアナリスト22人による営業利益予想の平均値は1482億円。

4―12月期の営業利益は前年同期比24.0%増の1155億円だった。売上高は前年同期比2.2%増の1兆1849億円で同期間の過去最高を更新。家電やIT関連、ゲーム機などの新規需要を取り込んだ。ノートPCなどに用いられる超薄型・超⼩型のファンモーターは3四半期連続で出荷が500万台を超えた。

会見した永守重信・会長兼最高経営責任者(CEO)は、省エネ化の流れを受けて低消費電力のモーターの需要が高まっていると説明。需要の拡大は一過性ではなく、コロナが収束しても「売り上げは落ちない」と語り、精密小型モーター事業は将来的に1兆円規模に拡大するとの見方を示した。

欧米での搬送用ロボット向けモーターやギア、家電向けコンプレッサー、第5世代(5G)通信網向け半導体検査装置などの増収も業績に寄与した。

一方、車載事業では電気自動車(EV)に用いられるトラクションモーターで将来の需要拡大を見越して先行開発費を継続して投じており、営業利益は前年同期比32.6%減だった。トラクションモーター以外の既存製品の利益は第1四半期を底に急回復しており、同事業の10―12月期の営業利益は前四半期比で64.9%増の76億円となった。

会見に同席した関潤社長は、中国政府が10月にガソリン車を35年までに全廃する方針を示して以降「急激に引き合いが増えている」と強調。従来は1四半期で引き合いの数は5―8だったところ「直近3カ月は新規で15の引き合いがある」という。

同社が普及の「分水嶺」とみる25年に向けた生産体制の整備について関社長は「目標達成の前倒しを実施している」と述べた。生産拡大でボトルネックになるような部品・設備を内製化し、外部に頼らない方針。永守会長は「(部品の内製のために)必要な技術を持つ会社を買収していく」との考えも示した。

*内容を追加しました。

(平田紀之)