[ワシントン 21日 ロイター] - バイデン米大統領が財務長官に指名したイエレン前連邦準備理事会(FRB)議長は、新政権は他国と新たな自由貿易協定を締結よりも国内の労働者やインフラへの投資を優先させるとの見解を示した。

イエレン氏は、19日に上院財政委員会で行われた財務長官への指名承認公聴会後に出された質問に書面で回答した。

バイデン政権が台湾との貿易協定締結を優先する計画かという委員の質問に対し、イエレン氏は「米景気回復がわれわれの最優先課題」と強調し、「バイデン大統領はこれまでに、米労働者や国内インフラへの主要投資が行われる前に新たな自由貿易協定には署名しないと明確にしている」と応じた。

同時に「断固とした貿易課題」の追求を計画しており、「同盟国にアプローチし、関係を再構築するほか、米国の繁栄や労働者を優先させる取り組みを支える貿易協定を模索する」と述べた。

中国については、トランプ前政権の対中通商政策に加え、中国が米中貿易協議の第1段階の合意を履行しているかどうかを精査すると説明。「米政府は対中関税を見直し、同盟国と協議する。この両方をしない限り、対中政策は変更しない」とした。

その上で「中国に対し意義ある圧力をかけるアプローチが必要」とし、バイデン政権は同盟国と連携を強化し、あらゆる手段を使って中国の「脅迫的」な取引慣行の是正に取り組むと述べた。

バイデン大統領の提案する法人税引き上げが、特に対中国において、米企業の競争力を阻害するかどうかの質問には、法人税引き上げは米企業に恩恵となる「大規模投資」とセットで行われると回答。

バイデン大統領が提案する法人税率28%は「数十年間続いた水準を依然大幅に下回る」と指摘した。

イエレン氏はまた、同盟国との協力の下、テロリストの資金調達ネットワークを厳しく取り締まり、いかなる外国投資も厳格に審査すると表明。「そのような協力がうまくいかない場合には、財務省は危険なテロリストや拡散国家を取り締まるよう各国に強く要請し、必要な場合には共謀の実態を公表する用意がある」とした。中国の米制裁違反は認められないとも述べた。

上院財政委員会は米東部時間22日午前10時(1500GMT)に会合を開き、イエレン氏の財務長官指名承認について採決を行う予定で、本会議での採決は22日中もしくは週明けに行われる見通し。

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