(ブルームバーグ): 日本銀行の黒田東彦総裁は21日、3月をめどに結果を公表する現行の金融緩和策の点検に関して「経済・物価・金融情勢の変化が起こった際に、機動的に対応できるようにしておく必要がある」と述べた。「状況に応じてメリハリを付けた運営を行う」という。

総裁は記者会見で、点検の重点は「副作用対策ではない」と説明。副作用を抑制しながら、2%の物価安定目標の実現により効果的な緩和策について「工夫があるのであれば、実施していきたい」と語った。

検討項目となる長短金利操作(イールドカーブコントロール=YCC)の運営では、超長期金利の過度な低下は保険や年金の運用利回りの低下につながる一方、コロナ禍においてイールドカーブ全体を低位に安定させることの重要性も改めて指摘した。

イールドカーブのスティープ(傾斜)化を狙いに「ゼロ%程度」とする長期金利の変動許容幅を拡大するとの見方について、「今の時点でそれを変えるとか、どうこうするということを決め打ちしているわけではない」と説明。「点検の中でいろいろな議論は出てくると思う」とも語った。

マイナス金利政策も点検対象になり得るものの、「効果が副作用を上回ってきたので続けてきた」と話した。世界的な株式市場の堅調に関しては、市場参加者が企業収益が今後改善すると見込んでいるためだとし、「ワクチンの前向きな動きも後押ししている」との見方を示した。

同日の金融政策決定会合では、新型コロナウイルス感染症への対応を含む金融政策の維持を決定。景気の現状は「引き続き厳しい状態にあるが、基調としては持ち直している」とし、判断を下方修正した。

(黒田総裁の発言を追加して更新しました)

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