[19日 ロイター] - 米動画配信サービス大手ネットフリックスは19日、世界での契約者数が2020年末に2億人を突破したと発表した。また、現金収支が均衡し、オリジナル作品の制作などのために借り入れを行う必要はなくなると予測した。同社株は引け後の時間外取引で12%急伸した。

契約者数は20年第4・四半期に850万人増加し、2億0370万人に達した。リフィニティブのIBESデータによるアナリスト予想(610万人増)を上回った。競争が激化したほか、米国で値上げしたものの、同四半期に配信が始まったオリジナル作品の「クイーンズ・ギャンビット」や「ブリジャートン家」の好評が寄与した。

新型コロナウイルス感染拡大に伴う巣ごもり需要で、2020年通年の契約者数の増加は過去最大となった。

ネットフリックスは世界的な契約者獲得に向け、オリジナル作品を多言語で制作するため、2011年以降、多額の資金を借り入れてきた。

同社は19日、2021年にフリーキャッシュフロー(純現金収支)が均衡するとの見通しを示し、株主に書簡で「日常業務のために外部から資金を調達する必要はもはやないと考えている」と表明。余剰資金を活用して自社株買いを通じた株主還元を模索すると付け加えた。

イーマーケッターのアナリスト、エリック・ハグストローム氏は「ディズニーなど動画配信市場の新規参入企業の多くが向こう数年は損失を見込んでいるのと対照的だ」と指摘した。

メディア大手との競争が激化する中、ネットフリックスは世界各国で顧客の拡大に取り組んでいる。ウォルト・ディズニーは12月、動画配信サービス「ディズニー+(プラス)」の大幅なコンテンツ拡充を発表。AT&T傘下のワーナー・ブラザーズは、2021年の映画を劇場公開と同時に「HBOマックス」で配信する方針だ。

ネットフリックスは株主への書簡で「ストリーミングを通じた娯楽の大きな成長を受け、ディズニーやワーナーメディアなど競合他社は新しい方法で当社と競うようになっている」と指摘。「当社が幅広いジャンルと国にわたってオリジナル作品の拡充・強化に迅速に取り組んでいるのはこのためでもある」と説明した。

21年第1・四半期の契約者数については、600万人増加するとの見通しを示した。アナリスト予想の約800万人増を下回った。

20年第4・四半期の1株利益は1.19ドルで、こちらもアナリスト予想の1.39ドルを下回った。

売上高は66億4000万ドルで、前年同期の54億7000万ドルから増加。アナリスト予想(66億3000万ドル)をわずかに上回った。

純利益は5億4220万ドル(1株当たり1.19ドル)で、前年同期の5億8700万ドル(同1.30ドル)から減少した。

*内容を追加しました。