[19日 ロイター] -

<為替> ニューヨーク外為市場ではドルが2営業日連続で下落した。バイデン次期大統領が財務長官に指名したイエレン前連邦準備理事会(FRB)議長が議会の指名承認公聴会で景気支援の拡充を提唱したことが歓迎され、リスク選好度が改善したことがドル売りにつながった。

イエレン氏は公聴会で、議員に対し追加の新型コロナウイルス対策で「大きく行動」するよう呼び掛け、債務拡大につながっても恩恵は代償を上回るとの考えを示した。

マネックス・ヨーロッパ(ロンドン)のシニア外為市場アナリスト、サイモン・ハービー氏は「米国で迅速に財政刺激策が打ち出されるとの観測が再び高まり、リスク選好度が改善した」とし、「議会上院で大規模な財政刺激策に対する広範な超党派の支持があると理解されている」と述べた。

イエレン氏は公聴会で為替相場について「市場が決定する為替レートを信じている。ドルや他の通貨の価値は市場が決めるべき」と発言。トランプ政権のアプローチとは一線を画した。

ただ、USBグローバル・ウエルス・マネジメントの最高投資責任者(CIO)、マーク・ハーフェレ氏は、イエレン氏の発言を受けてもドル安トレンドは転換しないと予想。FRBが超低金利政策を長期間にわたり維持する姿勢を示していることが、年内はドル安が続くと予想される要因の一つになっていると述べた。

主要6通貨に対するドル指数は0.3%安の90.531。ただ月初に付けた約2年半ぶり低水準の89.206はなお上回っている。

ユーロは対ドルで0.4%高の1.2121ドル。ユーロ圏では、イタリアのコンテ内閣が議会で信任され、解散総選挙が回避されるとの観測が出ている。

英ポンドは対ドルで0.3%高の1.3626ドル。

ドルは対円で0.2%高の103.86円。先週は104.40円と1カ月ぶりの高値を付けた。

NY外為市場:[USD/J]

<債券> 米金融・債券市場では、次期財務長官に指名されたイエレン前連邦準備理事会(FRB)議長が2017年に成立した税制改革法の一部を廃止すべきと発言したことを受け、国債利回りが小幅低下した。

前日はキング牧師生誕記念日のため休場だった。

イエレン氏は指名承認公聴会で、議員らに対し追加の新型コロナウイルス対策で「大きく行動」するよう呼び掛け、債務拡大につながっても恩恵は代償を上回るとの考えを示した。

10年債利回りは1.0937%と前週末からほぼ横ばい。利回りは2週間前に1%を突破し、その後も上昇基調が続いている。

10年物インフレ指数連動債(TIPS)と通常国債の利回り差で、市場の期待インフレ率を示すブレーク・イーブン・インフレ率(BEI)は2.11%と、約2年ぶりの水準に上昇した。

エバーコアISI(ニューヨーク)のマクロ調査アナリスト、スタン・シプリー氏は「市場ではインフレが上向くとの観測が根強い」と指摘。原油など多くの商品(コモディティー)価格が値上がりする中、バイデン次期大統領の追加刺激策や賃金引き上げに向けた動きが追い風となり、利回りは今年上昇する見通しだと述べた。

2年債と10年債の利回り格差は96.40ベーシスポイント(bp)にやや拡大した。

米金融・債券市場:[US/BJ]

<株式> 米国株式市場は反発して取引を終えた。バイデン次期政権の財務長官に指名されたイエレン前連邦準備理事会(FRB)議長が議会の公聴会で、大規模な経済対策の必要性を訴えた。

イエレン氏は上院財政委員会が開いた指名承認公聴会で、追加の新型コロナウイルス対策で「大きく行動」するよう求め、債務拡大につながっても恩恵は代償を上回るとの考えを示した。

グローバルト・インベストメンツのシニアポートフォリオマネージャー、トーマス・マーチン氏は「きょうはもっぱらイエレン氏と同氏が求める景気刺激策が材料だ」とし、刺激策へのフォーカスが「上昇持続の土台になる」と話した。

企業決算では、バンク・オブ・アメリカが発表した2020年第4・四半期決算が減益となったものの、信用コストの減少で市場予想ほどは落ちまなかった。株価はいったん上昇したものの、結局0.7%安で引けた。

ゴールドマン・サックス・グループの第4・四半期決算も利益が2倍以上に増加したが、株価は当初の高値から押し戻され、2.3%安で取引を終えた。

業種別ではS&Pの主要11部門のうち8部門が上昇。景気に敏感なエネルギーが上げを主導した。公益事業や主要消費財、不動産は下落した。

ゼネラル・モーターズ(GM)は9.7%高。傘下の自動運転車メーカー、クルーズが無人運転車の商用化に向けマイクロソフトと提携すると発表した。

ボーイングは3.1%高。カナダが18日、2年近くに及んだ「737MAX」機の運航禁止を20日に解除すると発表した。欧州当局も、運航再開を来週承認する方針を示した。

ネットフリックスは引け後の取引で11%超急伸。第4・四半期の有料契約者数の伸びが市場予想を上回った。

ニューヨーク証券取引所では値上がり銘柄数が値下がり銘柄数を1.92対1の比率で上回った。ナスダックでは2.15対1で値上がり銘柄数が多かった。

米取引所の合算出来高は138億7000万株。直近20営業日の平均は129億3000万株。

米国株式市場:[.NJP]

<金先物> ドル安・ユーロ高に伴う割安感から買われ、3営業日ぶりに反発した。中心限月2月物の清算値(終値に相当)は前週末比10.30ドル(0.56%)高の1オンス=1840.20ドル。

外国為替市場では、ドルが対ユーロで下落。ドル建てで取引される金は割安感から買われやすかった。また、バイデン次期大統領が打ち出した総額1兆9000億ドル規模の追加経済対策案を背景としたインフレ高進観測からのインフレヘッジ目的の金買いも引き続き相場を支えたもようだ。

一方、19日はイエレン米財務長官候補の承認公聴会が開かれたが、相場への影響は限定的だった。

NY貴金属:[GOL/XJ]

<米原油先物> 需要回復期待などを背景に買われ、反発した。米国産標準油種WTIの中心限月2月物の清算値(終値に相当)は、前週末比0.62ドル(1.18%)高の1バレル=52.98ドル。3月物は0.56ドル高の52.98ドルだった。

国際エネルギー機関(IEA)は19日、新型コロナウイルス感染再拡大で打撃を受けた原油需要がワクチン普及や政府による財政出動や金融政策により、今年後半に改善するとの見方を示した。今年の石油市場の回復を慎重ながらも楽観しているとのバーキンド石油輸出国機構(OPEC)事務局長の発言も伝わった。こうした見通しを受けて投資家心理が改善。相場は一時53.13ドルまで上昇した。

バイデン次期大統領の就任式を翌20日控え、大規模な財政出動への期待が広がる中、米株価は上昇。株式と並ぶリスク資産とされる原油にも買いが入った。

NYMEXエネルギー:[CR/USJ]

ドル/円 NY終値 103.89/103.90

始値 103.98

高値 104.04

安値 103.84

ユーロ/ドル NY終値 1.2128/1.2129

始値 1.2126

高値 1.2144

安値 1.2116

米東部時間

30年債(指標銘柄) 17時05分 95*03.00 1.8395%

前営業日終値 94*26.00 1.8520%

10年債(指標銘柄) 17時05分 97*31.50 1.0920%

前営業日終値 97*30.00 1.0970%

5年債(指標銘柄) 17時05分 99*20.75 0.4470%

前営業日終値 99*19.50 0.4550%

2年債(指標銘柄) 17時05分 99*31.50 0.1330%

前営業日終値 99*31.25 0.1370%

終値 前日比 %

ダウ工業株30種 30930.52 +116.26 +0.38

前営業日終値 30814.26

ナスダック総合 13197.18 +198.68 +1.53

前営業日終値 12998.50

S&P総合500種 3798.91 +30.66 +0.81

前営業日終値 3768.25

COMEX金 2月限 1840.2 +10.3

前営業日終値 1829.9

COMEX銀 3月限 2532.0 +45.4

前営業日終値 2486.6

北海ブレント 3月限 55.90 +1.15

前営業日終値 54.75

米WTI先物 2月限 52.98 +0.62

前営業日終値 52.36

CRB商品指数 174.8468 ‐0.4005

前営業日終値 175.2473

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