無印良品ブランドを展開する良品計画は2021年1月15日、机や椅子など4種類の家具のサブスクリプションサービスを開始した。展開する店舗は銀座店(東京・中央)、MUJI新宿(東京・新宿)など全国182店舗。最長4年のプランを年単位で用意しており、満了後は返却、買い取りなどを選べる。

良品計画は同社のESG経営に基づく「新商品・新価格・新サービス」を発表。家具のサブスクリプションサービスを始めたことを明らかにした
良品計画は同社のESG経営に基づく「新商品・新価格・新サービス」を発表。家具のサブスクリプションサービスを始めたことを明らかにした

イマドキの消費スタイルに対応

 同日に開催した「新しいくらしに合わせた3つの“新”」と題する発表会では、同社のESG(Environment:環境、Social:社会、Governance:ガバナンス)経営に基づく「新商品・新価格・新サービス」について説明した。

「新サービス」は家具のサブスクリプション。4種類12商品について1年、2年、3年、4年契約のプランを用意した(写真は無印良品ネットストアより)
「新サービス」は家具のサブスクリプション。4種類12商品について1年、2年、3年、4年契約のプランを用意した(写真は無印良品ネットストアより)

 残糸・残反を再利用した「再生コットンファブ」のスリッパやタオルをはじめとする「新商品」は、良品計画が商品開発の基本原則としている「素材の選択」「工程の点検」「包材の簡略化」に沿ったもの。また「新価格」については税込み990円の手指用消毒ジェルを790円に値下げするなど、日用品を中心に52品目を値下げした。21年3月には第2弾も予定しているという。

 この発表会での注目は、良品企画が同日に開始した家具のサブスクリプションサービスだ。これが「新サービス」に当たる。2000年以降に成人を迎えた、いわゆるミレニアル世代の消費スタイルは「所有から利用」に変化しており、レンタルやリースを使うことにあまり抵抗を感じないといわれている。良品計画 生活雑貨部住空間担当部長の湯崎知己氏が「年明けにサービスを発表したのは、春に新生活を始める人が多いから」と説明するように、今回のサブスクは20代前後の層をターゲットにしているとみていいだろう。

●レンタルやリースを使うことに抵抗があるか(年代別)
●レンタルやリースを使うことに抵抗があるか(年代別)
2018年の調査では、20代の40%がレンタルやリースに抵抗がないことが分かった 出所:NRI「生活者1万人アンケート調査」(2018年)

 サブスクの対象になっている家具は、脚付きマットレス、テーブル、チェア、スタッキングシェルフの4種類。良品計画では、今回のサービス開始に当たって20年7月中旬から3カ月にわたって銀座店など7店舗でトライアルを実施している。その際は複数の家具をセットにした「学ぶ/働く」「寝る」「くつろぐ」という3種類のプランを用意していたが、単品での提供を希望する声が目立ったため、今回はその声に応えたとのこと。

 家具としては4種類だが、プランは家具の形状やサイズなどによって12種類に分かれる。利用料金の一例を挙げると、販売価格2万7900円(税込み、以下同)の脚付きマットレスが4年契約の場合で月額560円。4年間の総支払額は2万6880円で収まるが、初回は配送料がかかるので購入した場合と大差ない計算だ。販売価格1万4900円のラウンドチェアの月額利用料は300円で、4年間の総支払額は1万4400円になる。

 期間が満了した際には解約・返却または契約延長を選択できるが、希望すれば買い取り料金(プラン、利用期間による)を支払って使い続けることも可能だ。良品計画では返却された家具は廃棄せず、パーツ交換やメンテナンスを施した上で、改めてサブスク用として再利用したり中古品として販売したりするという。

●月額定額サービス対象商品と4年契約時の月額定額料金(税込み)
●月額定額サービス対象商品と4年契約時の月額定額料金(税込み)
(良品計画プレスリリースより)

(写真提供/良品計画)

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