「50年実質ゼロ」へ、加速求められる脱炭素化の具体策

【政治 第204通常国会開会】衆院本会議で施政方針演説を行う菅義偉首相=18日午後、国会(春名中撮影)
【政治 第204通常国会開会】衆院本会議で施政方針演説を行う菅義偉首相=18日午後、国会(春名中撮影)

 菅義偉(すが・よしひで)首相は施政方針演説で、グリーン社会の実現に向け、2兆円の基金創設や関連設備の投資額のうち最大10%を法人税額から控除する支援策などを強調し、改めて強い意欲を示した。ただ、首相が表明した「2050年温室効果ガス実質ゼロ」はハードルが高く、具体策への取り組みを加速することが求められている。

 菅政権は昨年末、「実質ゼロ」への取り組みの工程表などを盛り込んだ「グリーン成長戦略」をとりまとめた。首相が「主力電源」と位置付ける「再生可能エネルギー(再エネ)」では、洋上風力発電や水素技術の普及拡大で電力部門の脱炭素化を図るといった、踏み込んだ目標も示された。

 一方、現在審議中で今夏にも策定される第6次エネルギー基本計画では、再エネや原子力などの電源構成の見直しが図られる。今冬は寒波などによる電力不足で安定供給のあり方にも関心が集まる。再エネ比率をどこまで高めるか議論される。原子力に関しては、再稼働にとどまらず、新設やリプレース(建て替え)まで踏み込むかも焦点だ。

 首相は、国内で取りまとめられた議論をふまえ、今年11月に英・グラスゴーで開催予定の「第26回国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP26)」で、2030(令和12)年に向けた目標を示すことになる。意欲的な環境負荷低減を日本が世界に示すことができるか、注目されている。(那須慎一)

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