三井不動産は、月定額のサブスクリプション型MaaS(モビリティ・アズ・ア・サービス)と、移動販売車のリース、プラットフォーム事業のトライアルを拡大する。2020年12月15日に発表した。不動産ビジネスにモビリティサービスを組み合わせることで、新たに生まれる価値とは?

三井不動産が出資するフィンランドのMaaSグローバルのアプリ「Whim(ウィム)」を活用(写真提供/三井不動産)
三井不動産が出資するフィンランドのMaaSグローバルのアプリ「Whim(ウィム)」を活用(写真提供/三井不動産)

 三井不動産が発表した不動産×モビリティ構想は、新型コロナウイルスの感染拡大で在宅勤務やワーケーションなど多様な働き方、暮らし方が広がっていることに対応するもの。1つ目は、MaaSアプリの活用で三井不動産の強みであるアセット間の人の移動をシームレスに簡便に行えるようにする取り組み。もう1つは、従来の固定店舗をモビリティ形態にし、ニーズに合わせて移動できるようにすることだ。この2つを軸に、街の魅力向上、活性化につなげる。

 まずMaaSについては、すでに2020年9月から21年1月末までの予定で、千葉県の柏の葉エリアを舞台に実証実験を行っている。アプリはMaaSの先駆者として知られるフィンランドのMaaSグローバル「Whim(ウィム)」を活用。三井不動産のマンション「パークシティ柏の葉キャンパス ザ・ゲートタワー ウエスト」の一部住民向けにアプリを配布し、タクシーやバス、シェアサイクル、カーシェアリングを使えるプランを提供してきた。Whimで目的地を設定すると、そこまでの経路で利用可能な交通サービスが表示される仕組みで、バス以外はアプリから予約可能となる。

 10月末までの利用実績を分析すると、4種類の移動手段の中でカーシェアの利用回数が多い傾向。「利用頻度が増えると思う交通サービス」を聞いたユーザー調査でも、カーシェアが60%を超えるトップで、バス、シェアサイクル、タクシーと続く結果だった。

 同じくユーザー調査で「MaaSの利用により増えた活動」を聞いたところ、「初めての場所への外出」が半数を超えて最も多く、「外出」「買い物」「レジャー」「寄り道」などが続いた。「ユーザーからは『行動範囲が広がった』『降りたことがなかったバス停で下車して周囲を散歩した』などの声もあり、MaaS提供の手応えをつかめた」(三井不動産ビジネスイノベーション推進部主事の門川正徳氏)という。

都内でもサブスクMaaS始動

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