[15日 ロイター] - 米金融大手JPモルガン・チェースが15日に発表した2020年第4・四半期決算(12月31日まで)は、貸倒引当金の縮小や投資銀行部門などの好調な業績を追い風に、利益が市場予想を大幅に上回った。

純利益は121億ドル(1株当たり3.79ドル)と、前年同期の85億ドル(同2.57ドル)から42%拡大した。貸倒引当金を29億ドル戻し入れたことで、1株利益が0.72ドル増加した。貸倒引当金の残高は300億ドル超。

貸倒引当金を除いた純利益は99億ドル(1株3.07ドル)と、リフィニティブのアナリスト予想平均である1株2.62ドルを大幅に上回った。

収入は3%増の302億ドル。このうち投資銀行部門の収入は37%急増し25億ドルだった。金融市場の変動が大きくなる中、トレーディング収入も20%増の59億ドルとなった。

一方、本業の収益源である純金利収入(NII)は134億ドルと、7%減少した。

4部門中3部門で収入が増加。コンシューマー・コミュニティーバンキング部門は8%減となった。

2021年は、事業投資として15億ドル、技術投資として9億ドルを追加支出することから、非金利支出(NIE)が前年の655億ドルから約680億ドルに拡大する見通しとした。

ダイモン最高経営責任者(CEO)は「新型コロナウイルスワクチンや景気刺激策の進展がプラスに働いたことにより、四半期の引当金は縮小した」と説明。引当金が縮小しても中核的な利益が拡大するわけではないものの、経済環境が今後予想以上に悪化した場合の備えになると強調した。

また「ワクチン実用化や財政刺激策などにより今年下半期の経済は改善する」と指摘。「潜在需要は多く、この混乱期を切り抜けているという事実に基づく楽観も出てくるかもしれない。今夏までには非常に健全な経済になっている可能性がある」とした。

一方、ピプスザック最高財務責任者(CFO)は、収入に基づく減資制限によると第1・四半期には最大45億ドルの自社株買いが可能とした。

アナリストは低金利環境やコロナ禍を考慮すると決算内容は堅調だったと指摘。エバーコアISIのアナリスト、グレン・スコール氏は「力強い業績で経済見通しは改善している」と述べた。

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