2021/1/17

【核心】デジタル化とDXが決定的に異なる理由

NewsPicks ジャーナリスト
巷にあふれるDX(デジタルトランスフォーメーション)指南書は役に立たない──。
そう喝破するのが、ロボットメーカーの安川電機の小笠原浩CEOだ。
AIによる高度な顧客分析や、サブスクリプション(継続課金)型へのビジネスシフトといったDX論を語る前に、まずは泥臭い取り組みをやるべきだというのが、安川電機のスタンスだ。
その安川電機では、子会社を含めてあらゆるデータが社内でつながるようにしたことで、経営状況がリアルタイムで把握できるようになった。
今後は、こうしたデータを生かしてデジタル評価を実現し、仕事の「見える化」や、異動時の「引き継ぎゼロ」の実現へと結び付けていく計画だ。
こうした「安川流DX」は、2018年に小笠原CEOがCIO(最高情報責任者)を兼務したことがきっかけとなって進んだという。
つまり、CEO自らがITの最高責任者になることで組織改革を進め、それによってデジタルの活用が一気に加速したということだ。
そこで小笠原CEOに、泥臭いDXの指南書について聞いた。

抵抗勢力に「ブチ切れた」

──DXを全社で推進しようとしても、縦割り組織によって部署ごとにデータがバラバラで、なかなか進まないなどの課題がよく聞こえてきます。
2016年に社長になって最初に目指したことが、会社の中のデータを「共通言語」にすることです。