2021/1/16

【緊急提言】このままでは日本滅亡?なぜ日本は変わらないのか

NewsPicks プロアナ
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1月12日のテーマは「緊急事態宣言! 2021年は日本滅亡元年か繁栄元年か?
高岡 浩三氏(ケイアンドカンパニー代表取締役)、楠木 建氏(一橋ビジネススクール教授)、浜田 敬子氏(ジャーナリスト)、永濱 利廣氏(第一生命経済研究所経済調査部首席エコノミスト)とともに徹底討論。
2020年は世界中が困難に見舞われた年。
今年に入っても未だ新型コロナウイルスの感染拡大の収束が見通せない中、首都圏を中心に再び緊急事態宣言が発令された。
明るくないニュースからスタートした2021年だが、一方でコロナワクチンの開発や接種が進み、アメリカでの政権交代への期待などを受けて、ダウ平均株価は史上最高値を更新。
日経平均株価もバブル崩壊後最高値を更新するなど、アフターコロナに向け景気回復期待が高まる場面もみられる。
日本グレートリカバリーへの道を探り、「2021年の新定義」を徹底討論した。
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日本経済が直面する課題

浜田 リーダーがいない。政権が変わっても国のグランドデザインを示せる政治家がいない。
政治だけでなく企業のリーダーも昔からの延長線上で現在に至ってしまっている。
今のリーダーは旗を降ることができていない。
永濱 ワクチンが出来ても実際に人々は打つのか?
ワクチンの接種率上昇で感染症へのリスクを取り払わない限り、日本経済の回復は難しい。
古坂 人は自分に甘く周りに厳しいということがこのコロナ禍で浮き彫りになったような気がする。
楠木 「日本」という考え方を捨てる。
日本的経営や日本企業といった、日本という集合名詞でくくってしまうことに問題がある。それでは競争理論が成り立たない。
日本的経営など存在しない。企業は個別に違うので、もっとミクロで見て、個人として一人一人が何をやるのかを考えるべき。
高岡 21世期の最大のイノベーションであるデジタル化に対応してこなかったのが今の日本の課題。
従来から問題視されてきた課題がコロナで浮き彫りになっただけ。
成熟した大企業はイノベーションが起こしにくいということは、前職のネスレで経験してきた。
今スタートアップを大企業が買うことは世界の主流になりつつあるが、中小企業へも経営をゆだねるなど、ビジネスモデルを変えながらイノベーションを起こしていく。
これが日本経済繁栄の唯一の道である。
永濱 デフレを放置してしまったのが問題。
マクロで見たときに海外と日本企業の違うところは、日本はお金を溜めすぎたところ。
バブル崩壊後、マクロ経済政策を誤ってデフレを引き起こしてしまい、日本は借金返済などの後ろ向きなお金の使い方をしてきてしまった。
奥井 失業率、倒産・廃業についてはどうか?
永濱 今回の緊急事態宣言を受けて試算すると、失業率は首都圏・関西で10万人、0.2ポイント増えるだろう。
しかし、失業よりも深刻なのは給与減。コロナの影響を本格的に受ける今年であり、基本給が減給になる人が増えてくる。
倒産・廃業については、コロナの影響で厳しくなった移動や接触を伴うビジネスなどが、債務超過による倒産ではなく、先行きの見えなさから起こりうる廃業が増えてくるだろう。

日本が変わらない理由

古坂 なぜ日本は変われないのか?
楠木 変わらなくてもここまでやれてきたから。
日本は開業率が低い。開業率と閉業率は相関するが、人材やお金が価値のあるところに回っていない。
究極、コロナで経営がやっていけない会社は潰れないといけない。
浜田 根本的な収益構造を変えないといけない。
日本は同一性、同志性が強い企業が多く残っている。
過去の成功体験にすがり、同じ考えを持った組織からは新しいアイディアが出てくるわけがない。
楠木 人材や企業の新陳代謝を活発にしてこなかったのが課題。
高岡さんがおっしゃる通り、大企業と中小企業・スタートアップの人材の流動性を上げるべき。
高岡 日本の会社には社長に任期がある。
数年しか社長をやる予定しかないのにリスクをとってわざわざ危ない橋を渡ろうと普通はしない。
また、日本の企業はお金を投資に使っていない。お金を投資してチャレンジしようとするリーダーもいない。
今の古い構造のままだと変わりようもない。

日本グレートリカバリーへの提言

浜田 同じ様な価値観の人たちは大胆に壊したり、変わるということが出来ない。
アメリカのテック企業のように、違うところからプレーヤーが集まらない限り何も起こらない。積極的に女性や若者に席を譲るべき。
楠木 「成熟」の価値の再発見・再定義を。
日本は戦後復帰からの成功体験に委ねすぎており、量的な変化が大きいのを良しとして来た。
海外から日本を見ると、日本には独自性があると言うが、これが「成熟」というものである。
国民性もビジネスも実質において日本は優れている。そんな成熟した市場では「質」を高めていくことに価値があるだろう。
高岡 イノベーションが起きないと問題は解決出来ない。
日本復活の道はDXとSX。SXとはサスティナブルな世界を作るために、課題になっていることを解決すること。
有事のときほどビジネスチャンスを見つける。変革は組織やチームではなく、個人から起こすものだ。
永濱 ロボットもSXの一つ。接客、介護、医療にもロボットを用いたイノベーションがこれから頻繁に起こる。
しかしその反面、女性の雇用が減っていく問題もある。
これからは女性が社会で活躍出来るよう、スキルを育むための人材開発や手当をしていくことが鍵になる。
女性への投資は未来にとって非常に重要。

今回のキングオブコメント

成熟しきった日本経済を肯定する。
大きな経済的成長を望むのではなく、少子高齢化、女性の雇用減、そして格差など、課題先進国日本だからこそ、課題を解決していくことがビジネスの主流になっていくだろう。
そのためには変わることを恐れないイノベーションや、未来への投資が日本再復興のための鍵になる。そして「自分なら明日からどうするか?」を考えて行動する。
政府、経営者、そして私たち一人一人の針路が明らかになった議論となった。
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