2021/1/16

【リコーCEO】大企業がDXを実現するために「必要なこと」

NewsPicks ジャーナリスト
毎日のようにニュースで目にする「DX」の2文字。DXとはデジタル・トランスフォーメーション。いま、多くの企業が、デジタル技術を使ったビジネス変革の実現を目指している。
しかし、現実はそう甘くはない。
アビームコンサルティングが2020年12月に発表した調査では、DXに成功したと認識している企業はわずか7%。4分の3の企業は遅々として進んでいないという。
その理由の一端は、組織や企業風土の改革に手を付けないままの「小手先DX」に取り組むことにある。
大きなビジネスの変革を実行する際には、AIのような流行りのテクノロジーをつまみ食いするのではなく、組織全体とそこで働く従業員の意識変化が必須だからだ。
こうした中、本気でDXに取り組む企業に増えているのが「CEO兼CXO」という役職だ。
「CXO」とは、CFO(最高財務責任者)やCHRO(最高人事責任者)、CIO(最高情報責任者)など、その職務で会社の責任者であることを指す。
つまり、経営トップであるCEO(最高経営責任者)が、人事やITのトップを兼ねることで、自ら組織変革の先頭に立つということだ。
例えば、プリンターやデジカメを手がけるリコーでは、山下良則CEOが人事トップのCHROを兼務している。
同社は、主力商品のオフィス用プリンターが「ペーパーレス」という逆風を受けていることに加え、コロナを機にオフィスに出社する日が減り、ますますビジネスが縮小している。
そこでリコーは、ペーパーレスを含めた働き方改革を支援するサービス会社になるという決断をした。そしてこのビジネスチェンジは、自社の働き方改革とセットで実現するという。
NewsPicksは山下CEOに、働き方改革とDXが直結する仕組みや、CEO兼CHROを担うことの真の狙いについて聞いた。

コロナはリコーの「チャンス」

──2017年に社長に就任し、プリンターからペーパーレス時代の会社に転換する方針を打ち出しました。大胆なビジネスチェンジですね。
山下 2017年は、リコーにとって一つの分岐点でした。