[14日 ロイター] - 米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長は14日、国内経済の状況が物価や雇用の目標からかけ離れているとした上で、資産買い取りの変更に関する議論は時期尚早という考えを示した。

プリンストン大学でのウェブシンポジウムで、月額1200億ドルの債券買い取りプログラムを巡り「今は出口戦略について話すべきときではない」と明言。「解除を早まらないよう注意することが世界金融危機から学んだ教訓だ」とし、シグナルを送るつもりなら市場は耳を傾けているため、出口戦略を繰り返し口にすべきではないと述べた。

さらに「経済はFRBの目標からかけ離れており、仕事が十分かつ真に達成されるまで、金融政策手段を駆使することに強力にコミットする」と述べ、一部のFRB当局者らが示唆した年内の債券買い取り縮小の可能性に対して否定的な見方を示した。

利上げについても、新型コロナウイルスの感染がなお急増していることから「今すぐはない」と強調した。

FRB当局者らはおおむね、米経済が今年コロナ禍から一段と完全な形で回復すると楽観している。ただ、雇用者数はなお昨年2月の水準を約1000万人も下回っているほか、週間の新規失業保険申請件数は約100万件に達するなど、雇用危機は収束には程遠い。

パウエル氏は、労働市場をコロナ前の状態に戻すことがFRBの主要な焦点になると確認。コロナワクチンの配布が今年の回復見通しを押し上げる中、経済が新たな大恐慌に突入するといった悲観的な見方も広がっていた昨年春と比較して、全体的に「恐れられていたよりもはるかに早い回復が可能になると考えられる」と述べた。「今はワクチンが手に入り、接種も進んでいることから、経済はかつてのピークに戻れる環境にある」とも指摘した。

同時に、今後数カ月間は厳しさに見舞われる恐れもあると強調。「われわれはこの非常に困難な冬の時期を乗り切らねばならない。しかし、ワクチンが普及しコロナ感染が抑制されるにつれ、楽観できる理由もたくさん見つかる」とした。

*内容を追加しました。