[北京 14日 ロイター] - 中国の昨年12月の輸出は予想を上回る伸びを示した。人民元が上昇し輸出価格を押し上げたにもかかわらず、新型コロナウイルス禍による各国の経済活動制限で中国製品への需要が高まった。国内経済の力強い回復で輸入も伸びた。

税関当局が14日発表した2020年12月の貿易統計によると、ドル建て輸出は前年比18.1%増と、ロイターがまとめたアナリスト予想の15%より大幅な増加となった。11月は21.1%増だった。

輸入は6.5%増と、11月の4.5%増から伸びが加速し、アナリスト予想の5%増も上回った。

貿易収支は781億7000万ドルの黒字で、11月の754億ドルから黒字幅が拡大し、リフィニティブのデータで2007年以来の高水準。アナリストは723億5000万ドルに縮小すると予想していた。

2020年の中国の輸出は3.6%増加。輸入は1.1%減少した。

税関の報道官は会見で、コロナ危機は続いているが、世界経済の持ち直しと中国経済のしっかりとした回復が貿易拡大の土台になるとし、今年も貿易が拡大するとの見方を示した。

アナリストは、医療機器や新型コロナウイルスの感染が再拡大している主要貿易相手国の在宅勤務関連製品の需要が今後も輸出を支援すると予想する。

ただ、原材料価格の高騰や最近の人民元相場の上昇が輸出業者の利益を圧迫する可能性があるとの懸念もある。2020年に人民元は対ドル<CNY=CFXS>で6.7%上昇と、3年ぶりに上昇した。

キャピタル・エコノミクスのシニア中国エコノミスト、ジュリアン・エバンズプリチャード氏は「輸出は昨年12月も好調だった。海外でロックダウンが再導入され、貿易相手国の多くでサービスからモノへの消費シフトが続いたためだ」と指摘。ただ、ワクチン普及により景気が回復するに伴い、2020年の刺激策が終了したり海外の消費パターンがコロナ前に戻ったりするとみられ、今年終盤は輸出、輸入とも縮小するとみている。

12月の対米貿易黒字は299億2000万ドルで、11月の374億2000万ドルから縮小した。

ノラムはリポートで、対米貿易黒字の縮小について、中国政府が第1段階の米中通商合意を履行するため、努力を続けていることを示していると指摘した。

INGの中国担当チーフエコノミスト、アイリス・パン氏は「中国の2020年の輸出は増加した。他の輸出国から市場シェアを奪った。他の輸出国も今年は景気が回復する公算が大きいが、世界経済の回復が引き続き中国の輸出を下支えするはずだ」と述べた。

同氏は「中国の貿易見通しの大きなリスクはハイテク輸出だ」とし「米国の新政権が中国のハイテク輸出にさらに圧力をかけるのか、また米国の同盟国が追随するのかは不透明だ」との見方を示した。

*内容を追加しました。