2021/1/14

【解説】ESGに背を向ける企業は、危ない

NewsPicks NY支局長
もはや「脱炭素」と無縁でいられる企業はない。
2020年だけでも、アップルが2030年のカーボンニュートラルを宣言し、マイクロソフトにいたっては、排出量以上のCO2を除去するカーボンネガティブにまで踏み込んだ。
彼らを突き動かすのは気候変動への切迫感だが、もう一つ、ESG投資の高まりがあるのは間違いないだろう。
環境、社会、企業統治を意味するESGは、今や、これまで株主価値の最大化を追求した企業に大きな変換を迫っている(アップルは役員の報酬までESGへの貢献に基づいて変動させると発表した)。
出遅れる日本はいかにESGに向かうべきなのか。そして、背を向けた際のリスクとは。
一橋大学大学院特任教授を務め、ファーストリテイリング、味の素などの社外取締役としても活躍する名和高司氏に、その核心を聞いた。

ユニクロ創業家の哲学

──ESGという言葉は、この1年でさらに広まりました。名和さんがいくつかの企業の取締役会などに参加される中での肌感はいかがでしょうか。
ここ1年、特にコロナの影響もあって急速に感度が上がりました。企業がESGに取り組む理由はいくつかの形があります。
例えば、ユニクロのファーストリテイリングの場合だと、あまり株主に対してESGという旗を振るというよりは、「社会や環境に良いことが企業として尊敬される」という思いがあります。