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【エッジAI 2020カレンダー】 最新動向&トレンド 丸わかり

こんにちは、エッジAIスタートアップでマーケティングを担当しているMARINA🦋(@m__sb04)です。
新年明けてしまいましたが、2019年にエッジAI史というものを書きまして3年ほど遡って業界全体を振り返ることで思いのほか自分の中でも整理・活用できたので、その延長線上で2020年もエッジAIの動向やトレンドを振り返ってみようと思います。
※ AIチップってそもそも何?という方は、前回の記事からご覧いただけると良いかと思います。

2020年は1月から突然 Xnor.aiがAppleに買収されるなど私としては驚く出来事からスタートしました。
半導体業界全体としては、9月にNVIDIAがARMを買収、米国がHuaweiへの制裁を強化し禁輸措置を取る(米政府は米国の技術を用いて製造した半導体をファーウェイに供給することを禁止)、10月にAMDがXilinxを買収など、後半にかなり大きな動きがあったように思います。

半導体業界全体のことはもっと詳しい専門家におまかせして(笑)
早速本題に入って、私はエッジAI領域にフォーカスしてニッチな業界を掘って綴っていきたいと思います。
ご興味ある方はぜひこのままご覧ください!

(※ 主な出来事を羅列した後、個人的所感や重要なニュースだけピックアップして簡単なサマリーを書いていますので、詳細は大丈夫!という方はカレンダーは飛ばしてください!!!!!!!!🙏🙏🙏 )

#エッジAI 2020年カレンダー

■ 1月

1/6「i500 (MT8385)」(Mediatek)(推論用)
・推論ベースの画像認識処理向けのSoC
・「Tensilica Vision P6」ベースのAPU(AI Processing Unit)を集積​

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1/6「CV2FS, CV22FS」(Ambarella)(推論用)
・車載カメラと先進運転支援システム(ADAS)用の新しいAIチップ
・Amazon SageMaker Neoを使用すればAmbarellaのCVflow SoC向けにモデルを自動的に最適化可能

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1/7 「i.MX 8M Plus」(NXP Semiconductors)(推論用)
・2.3TOPS

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1/15 Apple、Xnor.aiを約220億円で買収

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1/23 Kneron、$40M資金調達
Kneron raises $40m for next-gen Edge AI chip
https://www.eetimes.com/kneron-raises-40m-for-next-gen-edge-ai-chip/#

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■ 2月

2/4「GOKU」(TRIPLE-1)(推論用)
・5nm
・100 W
・ピーク性能(半精度):1 PFLOPS (1,000 TFLOPS)
・電力効率(半精度):10 TFLOPS / W
・2021年 量産化予定

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2/10 「Ethos-U55」(ARM)(推論用)
・512GOPS(最大演算性能)
・Cortex-M55と合わせて利用することで、従来のCortex-Mシリーズ単体と比較して最大480倍の処理能力を発揮

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2/10 「Xcore.ai」(XMOS)(推論用)
・1600 MFLOPS

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XMOS adapts Xcore into AIoT ‘crossover processor’
https://www.eetimes.com/xmos-adapts-xcore-into-aiot-crossover-processor/

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2/12 「ECM3532」(Eta Compute)(推論用)
・低消費電力AIoTアプリケーション向けに最適化されたデュアルコアSoC

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2/12 Intel、NervanaのAIチップ開発を打ち切り
・AI学習用チップ「NNP-T」, 推論チップ「NNP-I」を打ち切った
・最近買収したHabana Labsのチップ「Gaudi」「Goya」の方を選択したとみられる

Intel、NervanaのAIチップ開発を打ち切りへ
https://eetimes.jp/ee/articles/2002/12/news083.html

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■ 3月

3/5  Hailo、約64億円資金調達

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3/17 「量子化DNNエンジン搭載 AIテストチップ」(ソシオネクスト)(推論用)
・「YOLO v3」による 30fps での検出と5W 以下の消費電⼒を達成

量子化DNNエンジン搭載・低消費電力AIチップを試作http://www.socionext.com/jp/pr/sn_pr20200317_01j.pdf

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3/26 寒武纪(Cambricon) 、IPO承認
・中国のAIチップユニコーン企業がIPO承認

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3/30 「Coral Accelerator Module」(村田製作所+Google)(推論用)
・1セント硬貨より小さい10×15×1.5ミリのボードに「Edge TPU」とPMICを搭載したモジュール

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3/31 「Ergo」(Perceive)(推論用)
・4TOPS(最大演算性能)
・55TOPS/W(電力効率)
・約20mW, 30fpsでYolov3を実行
・7x7mm

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■ 4月

4/3 OctoML、約16億円資金調達

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4/6「GANPU」(韓国科学技術大学院大学(KAIST)研究チーム)(推論用)
・低消費電力で高効率なGANを処理するAIチップ
・135TFLOPS/W

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GANPU: A 135TFLOPS/W Multi-DNN Training Processor for GANs with Speculative Dual-Sparsity Exploitation
https://ieeexplore.ieee.org/document/9062989

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4/13 (ETRI, KETI)(推論用)
・ETRIと電子部品研究院(KETI)など協力機関が、視覚知能に特化したAIチップを共同開発
・30fps, 0.5Wで物体認識タスクを実行可能

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4/27 Wave Computing、破産申請

Wave Computingがチャプター11申請準備か? (1/2)
https://eetimes.jp/ee/articles/2004/27/news070.html

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4/28 「Spiking Neural Networkチップ」(imec)
・Spiking Neural Network(SNN)を使用してレーダー信号の処理を行う半導体チップを開発
・ANNを用いた従来品に比べ電力消費は100分の1に、レイテンシを10分の1に低減

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■ 5月

5/12 Hailo, Foxconn, ソシオネクストがエッジAI推論デバイス「BOXiedge」を発表
・ソシオネクストのSynQuacer SCAAチップとHailoのHailo-8プロセッサにより、最大20台のカメラからの映像に対して、分類・検出・姿勢推定などのタスクを同時に実行可能

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5/12 SiMa.ai、$30M資金調達
エッジ向け低消費電力機械学習チップソリューションを開発するSiMa.ai、DellがリードしてシリーズAの資金調達を実施

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5/14 ソニー、エッジAI搭載イメージセンサー「インテリジェントビジョンセンサー」を発表

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5/14 「A100」(NVIDIA)(学習用)
・通常時:312TFLOPS

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5/15 「Tinker Edge R」(ASUS JAPAN)(推論用-SBC)
・Rockchip製NPUを搭載

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5/27 「Ethos-N78」(ARM)(推論用)
・Ethos-N77の世代では最大4TOPsが実現可能だったのが、Ethos-N78では10TOPsが視野に入る

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■ 6月

6/8 Eswin(奕斯偉)、約305億円資金調達

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6/9 「RZ/V2M」(ルネサスエレクトロニクス)(推論用)
・従来のDRPに比べて約10倍の電力効率となる1TOPS/WクラスでのAI処理が可能なIP「DRP-AI」を内蔵したマイクロプロセッサ(MPU)
・2020年12月に量産開始予定

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6/16 「Snapdragon 690」(Qualcomm Technologies)(Mobile SoC)
・第5世代のQualcomm AIエンジンと深層学習向けアクセラレーター「Hexagon Tensor Accelerator」を搭載
・前世代と比べAI性能が70%以上向上

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6/16 「EdgeQore Lite」(QuantumCore)(推論用-マイコン)
・組込みマイコンを使ったエッジ上での完全なRNN処理を実現

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6/16 壁仞科技(Biren Technology)、約170億円資金調達

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6/18 NEDO、ソシオネクスト、ArchiTek、豊田自動織機と共同で、「進化型、低消費電力AIエッジLSI」を開発
・AI認識処理と画像処理の電力効率が汎用GPUの10倍以上
・リアルタイムSLAMの時間がCPUの20分の1


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6/22 PFNのスパコン「MN-3」がGreen500で世界1位を獲得

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6/23 アクセルとティアフォー、AIアクセラレータの製品化に向けて協業

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■ 7月

7/7 「QCS610/410」(Qualcomm)(推論用)
・AI推論性能は前世代から最大50%向上

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7/9 「AnIA Chip」(imec, GF)(推論用)
・最大2900TOPS/Wのエネルギー効率を達成

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7/15 「GC200」(Graphcore)(学習用)
・GC200を使う新しいIPUマシンM2000、1ペタフロップの処理能力を達成

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7/28 「OpenCV AI Kit」(推論用)
・Myriad X(VPU)を搭載

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■ 8月

8/4 Syntiant、AIチップの出荷台数100万台超え、$35M資金調達
・同社のmicrowatt-power Neural Decision Processors™ (NDPs):Syntiant® NDP100™ および Syntiant® NDP101™ を100万台以上出荷

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8/6 Eta Computeが「TENSAI Flow」を発表
・超低消費電力AIチップ「ECM3532」向けに、組み込みAI開発を一元化できるコンパイラ

組み込みAI開発を一元化するソフト「TENSAI Flow」
https://eetimes.jp/ee/articles/2008/14/news058.html

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8/27 「KL720 SoC」(Kneron)(推論用)
・平均消費電力1.2W, 1.5TOPSの性能
・SoCのメインコントロールユニットはArm Cortex-M4
・DSPおよびCortex-M4を含むSoC全体:0.9TOPS/Wの電力効率

ビデオと音声のエッジAIを両方サポートするSoC
https://eetimes.jp/ee/articles/2009/01/news049.html

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■ 9月

9/9 「Sunrise3 (旭日3)」(Horizon Robotics:地平线)(推論用)
・消費電力2.5W
・最大5TOPSの演算性能

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9/30 「Hailo-8™ M.2 AI Acceleration Module」(Hailo)(推論用)
・複数の標準的なニューラルネットワークベンチマークにおいて、IntelのMyriad-Xモジュールを25倍、GoogleのEdge TPUを14倍のFPSで上回る

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■ 10月

10/7 「MAX78000」(Maxim Integrated Products)(推論用-マイコン)
・競合するソフトウェアソリューションに比べて100分の1以下の消費電力

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10/22 「Ethos-U65」(ARM)(推論用)
・1TOPS(最大演算性能)

また、NXP Semiconductorsは、同社アプリケーションプロセッサ「i.MX」にARM NPU「Ethos-U65」を採用することを発表。

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10/29 「Efficiera」(LeapMind)(推論用)
・CNNの推論演算処理に特化した超低消費電力AI推論アクセラレータIP
・小型FPGAへの実装が可能
・ハードウェア設計の変更無くAI機能を追加可能
・量産ボードへの対応による開発期間の短縮

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10/29 「凌芯01」(零跑汽車:Leapmotor)
・自動運転用AIチップ
・処理能力はMobileye (モービルアイ)のチップと同等

首款全自主车规级AI芯片凌芯01发布 零跑重塑智能驾驶核心技术格局

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■ 11月

11/5 Blaize、日本での営業開始
・消費電力7W, 16TOPSの性能を実現するGSPとSDKをソリューション提供

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11/10 「Apple M1」(Apple)
・2.6TFLOPSの演算性能
・毎秒11兆の演算処理が可能な16コア「Apple Neural Engine」を搭載

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11/12 「IMG Series4 NNA」(Imagination Technologies)
・1コアあたり1W未満で12.5TOPS
・600TOPS以上の演算性能(8コア)
・GPUの20倍以上、CPUの1000倍のパフォーマンスを実現
・設計プロセスはISO 26262規格に準拠

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11/19 「M1108」(Mythic)(推論用)
・消費電力4W
・最大35TOPSの演算性能

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Mythic AI Accelerator Targets High-End Edge With 35 TOPS
https://www.eetimes.com/mythic-ai-accelerator-targets-high-end-edge-with-35-tops/#

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11/24 GrAI Matter Labs、$14M資金調達
GrAI Matter Raises $14M for Sparsity-Driven AI SoC
https://www.eetimes.com/grai-matter-raises-14m-for-sparsity-driven-ai-soc/

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11/25 「SAPEON X220」(SK Telecom)(学習用)
・消費電力60W
・毎秒6700フレームのイメージを処理可能

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■ 12月

12/1 「Snapdragon 888」(Qualcomm)(Mobile-SoC)
・AIエンジンは「Hexagon」プロセッサを搭載し、演算能力が26TOPSに向上
・第2世代の「Sensing Hub」を採用し、電力効率も前世代から大幅に向上

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12/8 「ET-SoC-1」(Esperanto Technologies)(推論用)
 ・1088個+1個のET-Minionと4個のET-Maxionから構成される

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12/16 Tsing Micro社のSoC「TX510」にウィンボンド・エレクトロニクスのLPDDR3が搭載
・TX510:消費電力400mW、最大1.2TOPS @ INT8

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12/21 Eta Computeがソリューションメーカーに転身
・主要AIチップの次世代開発は中止

Eta Computeがソリューションメーカーに転向へ
https://eetimes.jp/ee/articles/2012/20/news011.html

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12/22 Horizon Robotics、約725億円資金調達

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12/29 Graphcore、約230億円資金調達

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#エッジAI動向サマリー

◆ 伸びていく市場規模
富士キメラ総研の調査によると、2025年度のエッジAIコンピューティングの国内市場予測(2019年度比)は、565億円(4.2倍)とされ、今後ますます期待が集まる領域といえます。

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2021年度以降、AI搭載機器の量産化やアプリケーション開発が本格化していき、特に自動運転では不可欠な技術として開発が加速すると予想されています。
2021年は、2020年に蒔いた種を育てながら、私自身もエッジAIの実用化を目指して頑張っていきたいです。

> 『2020 人工知能ビジネス総調査』まとまる(2020/10/12発表 第20107号)https://www.fcr.co.jp/pr/20107.htm

◆ Syntiantが100万台以上のAIチップを出荷
2019年より、Amazonの認証を取得し、スマートスピーカーなどAlexa対応デバイスでの採用が進んでいたSyntiantのNDPs(microwatt-power Neural Decision Processors™)。
2020年にはSyntiant® NDP100™ および Syntiant® NDP101™ を100万台以上出荷するなど、特に音声認識用途での低消費電力が求められるデバイスでAIチップ搭載が少しずつ進んでいます。

◆ プライバシー面でエッジとクラウドのどちらの方向に進むか
エッジでの処理が求められる理由の1つにクラウドなどに情報をあげる必要がないため「セキュリティや信頼性が担保される」という点があります。
Xnor.aiの買収により、Appleはプライバシーの観点でiPhoneなどのデバイス上でユーザーの個人情報を完結させたいと考えているのではという考察がありました。
その反面、Googleなどはユーザーの行動を可能な限り追跡してクラウド上に情報集約し、様々なサービスや広告での最適化を行う姿勢がみてとれます。
ユーザーのプライバシーを守る方向に進むのか、ユーザーの情報を吸い上げて最適化していく方向に進むのか、どちらが結果的にユーザーにとっての体験がよくなるのか。
世界的にどちらの方向に向かうのかは、まだ読めないな…と思っています。

◆ ユニコーン企業の台頭、AIチップ企業が初の上場
中国のAIチップ企業Cambricon(寒武纪)が上海証券取引所によって正式に承認されました。
株価は288%上昇し、市場価値は1000億円を超えるとされ、ユニコーン企業としてすでに大きな注目を集めています。

◆ 海外のAIチップ企業Blaize, Hailoなどが続々と日本上陸
BlaizeもHailoも自動車向けの用途がターゲットの1つであり、日本での自動車メーカーやTiar1とのパートナー強化を目指して日本での事業展開を露わにしました。
Hailoに関しては、5月にFoxconnとソシオネクストと共同でエッジAI推論デバイス「BOXiedge」の提供を発表、8月に日本法人を設立。

> AIチップメーカー大手のHailoは日本法人を設立し、成長するアジア太平洋地域の 顧客基盤をサポートし、国際的な事業展開を拡大します
https://kyodonewsprwire.jp/release/202008313632

Blaizeは、11月にデンソーの子会社であるエヌエスアイテクスを販売代理店として日本での営業活動を開始。

また、サーバー向けの業界最速のAIコンピュータを開発するCerebras Systemsも日本法人を設立し、日本が重要な市場であることを発表しています。

◆ 韓国、中国で進むAIチップ開発
韓国は政府が「総合半導体強国」という国策を掲げており、AIチップの生産を推進しています。2030年にAI半導体分野で先進国に跳躍するという目標を掲げており、2029年までのAIチップ商業化・生産に約920億円を拠出する計画を発表しています。
> 韓国は半導体が輸出の約5分の1を占めるものの、大部分がメモリーで、AI向けに特化したASICへの転換を図っている。

中国はアメリカとの経済対立により、AI チップの内製化を迫られています。
アメリカのチップに代わるものを開発しようと多額の資金を集め、中国のAIチップ企業の資金調達の金額は桁違いです。

◆ Wave Computingの破産申請、再編を目指す
Wave Computingが破産手続きを行うというニュースも一時期業界で波紋を呼びました。しかし、再編を目指すための申請だったので、ニュースが出ていた時期はHPも落ちていたのですが、今は復活していますね。
> Wave Computingがチャプター11申請準備か? (1/2)
https://eetimes.jp/ee/articles/2004/27/news070.html

余談ですが、David Ditzel氏はWave Computingを辞任したのち、Esperanto TechnologiesのCEOに就任するなど、業界をグルグル回っている感というか業界狭いなと感じたりしました。
> Wave Computingを辞任した後でまずはEsperanto TechnologiesにMarketing and Business Development担当VPとして入社、2019年11月にCEOに昇格している。昔の上司と部下の関係が復活した形
https://ascii.jp/elem/000/004/038/4038026/

◆ AppleのM1チップ
QualcommやSamsungなど体力のある限られた企業しかSoCを自社開発することができない中、AppleがIntelから離れ独自開発した「M1」チップが発表され、その性能速度に注目が集まりました。

◆ 省メモリで動く小型ネットワークの開発が進む
軽量なモデルの研究開発が引き続き進んでいます。

◆ AIチップの細分化と企業統合、熾烈な競争は続く
スタートアップからレガシーな大手半導体ベンダーまで様々な企業がAIチップを開発、登場していますが、その流れは2021年も続きそうです。特に推論向けに関しては特定の用途やモデルを処理するために電力効率やパフォーマンスレベルが調整された各AIチップが細分化して棲み分けられるのかなと予測しています。

チップ自体の細分化が進む反面、企業統合で一緒になるような気もしています。特に学習サーバー向けAIチップでは、大手半導体メーカーがGroq、Graphcore、Cerebrasあたりの有望スタートアップ企業を大規模に買収するのではないかという個人的予測があります。。。

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トピックとしてはこんなところでしょうか。GoogleやSynopsysがAIチップの設計デザインにAIを活用して加速させるといった内容を発表しているなどのニュースも気になります。日本は中国や欧米に比べて遅れをとっている印象を受けますが、NEDOによる「AIチップ設計拠点」などを活用したAIチップ開発プロジェクトを進め、存在感をみせていきたいところです。

#エッジAI領域参入の難しさ

エッジAI企業に勤めている個人としての見解になりますが、マーケター視点でエッジAI領域でのプロダクト開発のハードルが高いと感じる機会が多かったので、言語化してみようと思います。

MLとAIに関していえば、「現在分かっていることの大半は完成品が出来上がるまでには古くなっている」という予測に基づいてハードウェアを構築する必要がある。
https://jp.techcrunch.com/2020/12/15/2020-12-03-ais-next-act-genius-chips-programmable-silicon-and-the-future-of-computing/

上記の1文に全てが込められているような気がしますが、ここが最大に難しいポイントで、マーケターとしても単にソフトウェアの開発と違う点で考えないといけないことが多くなる部分でもあると感じています。
前提としてまずハードウェアの開発期間が長い(平気で2~3年のスパンかかる)ので、想定しうるアプリケーションで駆動できるように、ある程度柔軟性と汎用性を持っていないといけません。しかしML専用のハードウェア上で何のアプリケーションが主導を握るのかは分からない上にソフト側の技術進歩が早いので、すぐに主導を握るアプリケーションがすり替わる可能性もあり、用途やアプリケーションが変わると要求される仕様(電力効率や精度など)も自ずと変わる可能性が出てきます。(すぐに主導を握るアプリケーションがすり替わる可能性により、ハードの上で動くモデル自体の仕様を決めることも難しい)
それを踏まえると、本来マーケットを見据え顧客の意見を反映させるのがマーケの役割なのですが、数年後のターゲットアプリケーションを決めることも、今の製品の仕様にフィードバックかけるサイクルを作るのもとっても難しいと思います。
常に未来を見ていないといけないけれども、その反面ユーザー自身はまだそこまでAIを使いこなせていないので、目先のアプリケーションの対応と平行して、こちらから新たな用途を提示しないとそもそも広がらないという点もさらに難しくしている要因の1つです。
「ターゲットアプリケーションを決めて早急に用途を市場に提示して標準化させる」言葉にすると簡単なように思えますが、これが新たな市場を創造することだと認識しており、1番難しいなーと思っています。

#AI搭載製品実現の鍵となる「エッジAI」

そんな中、AI推論チップはまだ勝者は決まっていない領域であるため、事例を作ったもん勝ちな面白い領域であると思っています。
年々技術的な進歩や製品化を各社が進めており、毎年のように今年は勝負の年と言っているような気もしますが、今年こそはAI搭載製品の量産化に向けて様々なプロジェクトを進めていきたいと個人的にも感じています。

# AI Chip Map/List

最後に、2020年新たに追加されたリストや特集をピックアップしました。

① ガートナーが選ぶ、2020年エッジAIテックイノベーター企業12社
https://blogs.gartner.com/anthony_bradley/2020/11/03/announcing-gartners-new-tech-innovators-in-edge-ai/

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② Interface 2020年10月号『AIチップ図鑑&実力大研究』

③ The 10 Coolest AI Chip Startups Of 2020
@blaizeinc, @CerebrasSystems, @efpga, @graphcoreai, @Hailo_ai, @Kneron_AI, @leapmind_inc, @SambaNovaAI, @SiMa_Inc, @tenstorrent
(ありがたいことに弊社も載っています)

④ 10 AI Chip Startups You Should Know

⑤ AI Chip Database

⑥ 2020年2月4日号 週刊エコノミスト『AIチップで沸騰! 半導体』

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いかがでしたでしょうか。今回も結構なボリュームになってしまいましたが、みなさんの振り返りインプットに貢献できていると嬉しいです。

今年もエッジAI業界を盛り上げていきたいと思いますので、何卒宜しくお願い致します。
Twitterでも最新情報を垂れ流しているのでぜひ覗いてみてください!

▼ 2020年のエッジAIツイートまとめ

そして、今年は11日より開催のCES2021に出展予定なので、弊社ブースも覗いてもらえると嬉しいです!

p.s. エッジAI領域に興味がある方は、半導体の知識もお持ちの方がほとんどとは思いますが、半導体への理解を少しでも深めると色々ニュースの理解度も上がると思います。
以下の記事は、半導体デバイス自体や業界について分かりやすく解説してあるのでとてもおすすめです。

〜お・わ・り〜

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