2021/1/15

【斎藤幸平】本当の気候対策は「脱資本主義」しかない

NewsPicks 金融ジャーナリスト
脱炭素マーケティングに意味はないーー。
特集で見てきたように、国や自治体だけでなく、あらゆる企業にとって「脱炭素」は避けられないものになった。
だが、多くの企業の脱炭素戦略は、「グリーンウォッシングにすぎない」と、ベストセラー著書『人新世の「資本論」』で知られる哲学者の斎藤幸平氏は話す。グリーンウォッシュとは、うわべだけ環境配慮を装うことだ。
この地球規模の危機を乗り越えるには、そもそも「資本主義」からのシフトに手を付けないと意味がない、と斎藤氏は言う。
実際、アメリカでは、民主党のプログレッシブ(進歩派)が資本主義の枠を超えた「民主的社会主義」を標榜し、ミレニアルズ世代やZ世代に、激烈な支持を集め始めている。
NewsPicks編集部は、現在の気候対策の課題や、資本主義を超えた未来の社会像について斎藤氏に直撃した。

SDGsは「大衆のアヘンだ」

この1年でSDGs(持続可能な開発目標)という言葉が社会全体に広がりました。いろいろな企業がSDGsに取り組むようになり、メディアが取り上げる機会も増えています。気候変動や貧困の問題に人々の意識が向かうようになったことは、歓迎すべきことかもしれません。
しかし、問題なのは、SDGsやESG(環境・社会・ガバナンス)が経済成長を前提にしている点です。