[東京 12日 ロイター] - ソフトバンクは12日、楽天傘下の楽天モバイルに転職した人物の持ち出した営業秘密が楽天モバイルの事業で利用されないよう、営業秘密の利用停止と廃棄などを目的として民事訴訟を提起する予定だと発表した。

ソフトバンクは同日、2019年末に退職して楽天モバイルに勤務する人物が警視庁に不正競争防止法違反の容疑で逮捕されたと発表。ネットワーク構築業務に従事していた元社員が、退職申告から退職までの期間に、第4世代(4G)と5Gのネットワーク用基地局設備、基地局同士や基地局と交換機を結ぶ固定通信網に関して、営業秘密に該当する技術情報を不正に持ち出していたと20年2月に判明し、ソフトバンクは警視庁へ被害を申告して捜査に協力してきたと説明している。

元社員が利用する楽天モバイルの業務用PC内にその営業秘密が保管されており、ソフトバンクは「楽天モバイルが当社営業秘密を既に何らかの形で利用している可能性が高いと認識している」としている。引き続き、捜査に全面的に協力し、元社員への損害賠償請求を含めた措置も視野に対応を検討していくという。

楽天モバイルは「当該社員は在籍しており、詳細を確認中。当局の捜査には全面的に協力していく」とコメントしている。

顧客の個人情報や通信の秘密に関わる情報などは、元社員が持ち出した営業秘密の中には「一切含まれていない」という。業務用端末の利用ログ全般を監視するシステムの導入などを通じ、再発防止の取り組みを進めているとした。