新型コロナウイルス感染症の“おかげ”で日本の大学が世界の標準に追いつける可能性が出てきた(写真は米カリフォルニア州のスタンフォード大学)

 さて「緊急事態宣言」です。

 政府は1月8日から2月7日まで、「新型インフルエンザ等対策措置法」に基づく「緊急事態宣言」の再発令を決定しました。トップダウンです。

 内容は、前回の、社会経済活動を全般的に抑制した内容とは異なり、対象を限定したものになっており、飲食店の営業を20時まで「短縮要請」するなどとし、学校には閉校は求めませんでした。

 各地で商店や施設、学校などが対応に追われています。

 私の勤務する東京大学でも、通知が回ってきました。学生向けには、オンライン以外のサークル活動の禁止など、我々教員には、一部「ハイブリッド授業」を除いて原則、遠隔授業の徹底などです。

 さらに、これと並行して「大学入学共通テスト」の事務連絡も回ってくるわけです。

 学生には登校を禁止ないし制限しますが、入試は予定通り行う。行わざるを得ない。

 当然、予想されることとして「入試感染」「入試伝染」といった事態がありうる。

 そういう事態そのものを「縁起でもない」として、取り上げたがらない風潮が我が国には、はっきり存在しています。極めて残念なことです。

 しかし、2021年早春の入学試験で、新型コロナウイルスに感染する受験生や関係者、教員や事務担当者が「一人もいない」と断言するどのような根拠もありません。

「たぶん大丈夫だろう入試」ではなく、「コロナで最悪の事態が発生するかもしれない入試」を徹底して準備するのが、本来の危機管理の基本であるはずなのですが・・・。