[ソウル 8日 ロイター] - 韓国のサムスン電子は8日、第4・四半期の営業利益が前年比26%増加するとの見通しを示した。新型コロナウイルスの感染拡大に伴う在宅勤務やテレビ需要の増加を背景にした半導体やディスプレーパネルの販売好調が、スマートフォン販売の弱さを相殺したもよう。

営業利益は9兆ウォン(82億4000万ドル)の見通し。リフィニティブ・スマートエスティメートのアナリスト予想(9兆1000億ウォン)とほぼ一致した。

売上高は1.9%増の61兆ウォンになる見通し。

アナリスト推計では、第4・四半期の営業利益は前期比では約27%減少した。スマホ販売の低調やマーケティングコストの増加、ウォンの対ドル相場の上昇が要因という。

サムスン電子は今月中に決算の詳細を発表する予定。

ケープ・インベストメント・アンド・セキュリティーズのアナリスト、Park Sung-soon氏は「在宅勤務は今後定着するだろう」と述べ、「決算の詳細が発表される時には、サムスンの供給に関するコメントや半導体以外の投資が注目すべき点になる」と述べた。

また、先月に台湾で起きた地震で競合するDRAMメーカー勢のチップ生産が一時的に中断しており、この件に関する近況報告も注目されるとした。

トレンドフォースの研究員は、供給中断を受けて需要が増加するのが通常だが、今回の地震で生産能力が大きく損なわれたようには見えないと指摘した。

アナリストは、第4・四半期にサムスンのメモリーチップの出荷は前期比増加し、価格安による影響を相殺したと予想している。

また、データセンター向け需要の回復や第5世代移動通信システム(5G)スマホ向け需要などの増加で、メモリーチップの価格は上期に回復するとアナリストは見込んでいる。

韓国政府は、2021年の半導体輸出が10%超増加すると予想している。新型コロナウイルスのパンデミック(世界的な大流行)を背景に、企業はテレワーク向けに処理能力を増強。消費者もラップトップなどの機器への支出を増やす中、2年連続の好調を見込む。

カウンターポイント・リサーチによると、サムスンの第4・四半期のスマートフォン出荷台数は前期比17.5%減の見通し。第3・四半期の販売が好調だったこと、アップルの新機種「iPhone12」の発売が要因という。

サムスンは来週、新型の旗艦スマートフォンを発表予定。従来の発表時期よりも早めることで、米政府の規制対象となった中国の華為技術(ファーウェイ)からシェアを奪う狙いがあるとカウンターポイントは指摘する。

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