[ワシントン 7日 ロイター] - 米連邦議会議事堂にトランプ大統領の支持者が乱入する事態が発生してから一夜明けた7日、議会では民主・共和両党からトランプ大統領の罷免を求める声が上がった。閣僚や政権高官も相次いで辞任を表明しており、任期終了まで残り13日となる中、トランプ大統領の孤立化が進んでいる。

民主党のペロシ下院議長とシューマー上院院内総務は、大統領の即時罷免に向けて合衆国憲法修正25条を発動するようペンス副大統領や政権閣僚らに要求。発動がなければ、議会は弾劾も辞さないと表明した。

修正25条は、大統領が職務遂行不能となった場合の職務継承について定めている。

ペロシ氏は会見で「大統領は昨日、米国に対する武装した反乱を扇動した」と述べ、「トランプ氏がホワイトハウスにとどまっている限り、米国は苦境に置かれる」と強く非難した。

共和党のホーガン・メリーランド州知事とキンジンガー下院議員も、修正25条の発動を呼び掛けた。

関係筋によると、トランプ政権の閣僚と大統領に近い人物らは、修正25条の発動について協議した。だが、共和党筋によると、トランプ大統領の任期終了が間近であることなどから、罷免が実現する公算は小さいとみられている。

議会は7日、議事堂での混乱から数時間後に民主党のバイデン氏を次期大統領に正式に認定した。しかし、共和党からは下院議員の半数以上と上院議員8人が選挙結果に反対した。この手続き中には、ペロシ氏がペンス氏と議場の外で話す場面も見られた。

一部の民主党下院議員は、既にトランプ氏の弾劾条項策定に着手している。

こうした中、チャオ運輸長官は7日、辞任を表明した。チャオ氏は共和党上院トップのマコネル院内総務の妻。

さらに、国家安全保障会議(NSC)の欧州・ロシア問題担当シニアディレクター、ライアン・タリー氏、大統領首席補佐官代行を務めたマルバニー英領北アイルランド担当特使が相次いで辞任。ポッティンジャー大統領副補佐官(国家安全保障担当)も前日辞任しおり、今後もさらなる辞任が予想される。

バイデン次期大統領は、議会占拠を米史上における失意の日と述べ、「トランプ大統領は米国の民主主義に対する全面的な攻撃を解き放った」と非難。しかし、トランプ氏が大統領として任期終了までとどまるべきかどうかについては言及を避けた。

トランプ大統領は声明で、バイデン氏が大統領に就任する1月20日に「秩序ある政権移行」を約束。しかし「選挙結果に全く同意していない」とも述べた。自身の支持者による6日の暴力行為についても非難していない。

米交流サイト大手フェイスブックのザッカーバーグ最高経営責任者(CEO)は、次期政権への移行が完了するまで「トランプ大統領にフェイスブックのサービス利用継続を認めるリスクが過度に大きい」とし、向こう2週間にわたりトランプ氏のアカウントを凍結すると発表。同社は前日、議事堂乱入事件を受け、トランプ氏のアカウントを24時間凍結していた。

米紙ニューヨーク・タイムズは7日、トランプ大統領が昨年11月の大統領選以降、自身の恩赦を検討していることを側近に話していたと報じた。専門家によると、大統領が合法的に自身を恩赦できるかどうか明確な答えはないという。

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