[ワシントン 6日 ロイター] - 昨年11月の米大統領選の選挙人投票集計を行う連邦議会で6日、議事堂周辺に集まったトランプ大統領支持者の一部が、警備を破り建物内に侵入した。これを受けて議事堂は閉鎖され、上下両院合同本会議の討議も中断された。

ワシントンの警察当局によると、銃で撃たれた女性1人のほか3人が死亡した。逮捕者も52人に上った。逮捕者52人のうち47人は午後6時に出された夜間外出禁止令の違反、また26人は米議会で逮捕された。このほか銃火器所持でも逮捕者がでているという。

警察によると、共和党と民主党本部ではパイプ爆弾2発を、議会の敷地の車からは火炎瓶を発見した。

議会警察で撃たれて死亡した以外の3人は、医療救急対応のなか死亡したとしている。警官も14人負傷し、2人が病院で手当てを受けている。

この混乱を受け、上下両院の議員は避難。議事進行役を務めるペンス副大統領も上院を退出した。警察は侵入者に対し催涙弾を使用した。首都ワシントンの警察当局によると、侵入者らは化学刺激物質を使って警備の警官隊を攻撃、複数の警官が負傷した。

警察は騒動発生から3時間以上経った午後5時半(2230GMT、日本時間7日午前7時半)すぎ、議事堂の安全を確保したと宣言した。

その後、上下両院合同本会議は、バイデン氏の次期大統領認定に関する審議を再開。トランプ派の議員が申し立てた異議について議論を進めているが、異議が認められる可能性は低い。

異議を申し立てる意向を示していた議員の一部も、複数の州ではなく1つの州の選挙結果にのみに異議を唱える方針に転換するなど、態度を軟化させている。

ジョージア州の決選投票で敗北した共和党のロフラー上院議員は、バイデン氏の次期大統領認定に異議を唱える予定だったが、トランプ支持者の議会占拠を受けて方針を転換したと発言。「良心に照らして選挙結果に異議を唱えられなくなった」と述べた。

バイデン次期大統領は、議事堂への襲撃や窓の破壊、議会の占拠といった行為は「抗議ではなく反乱だ」とテレビ演説で非難。「暴徒らが退き、民主主義の手続きが進行するよう求める」とした上で、トランプ氏に支持者に対して包囲行動を解くよう要請することを求めた。

こうした中、トランプ氏はツイッターに投稿した動画で、支持者らに自制を呼び掛けた。選挙が盗まれたとの根拠のない主張を繰り返した上で「あなたたちは自宅に戻らなければならない。われわれには平和が必要だ。法と秩序がなければならない」とした。

混乱の発生を受け、首都ワシントンの市長はこの日午後6時から翌日午前6時までの外出禁止令を発動した。

これに先立ちトランプ大統領は、ワシントンの集会で演説し、昨年11月の大統領選の敗北を決して認めないと言明。支持者に対し、選挙では大規模な不正があったと改めて主張し「われわれは決して諦めない。決して敗北は認めない」「盗みをやめさせる」と訴えた。

集会には、上下両院合同本会議で同日行われるバイデン氏の次期大統領認定に抗議するトランプ大統領の支持者数千人が集まり、トランプ大統領に声援を送った。抗議には過激派グループや極右グループのメンバーも参加した。

CNNによると、首都ワシントンの州兵全体が配備された。バージニア州のノーサム知事は要請を受け、州兵を首都に派遣すると表明した。

上院共和党トップのマコネル院内総務は、上下両院合同本会議の冒頭で、昨年11月の米大統領選でのバイデン前副大統領の勝利に疑念を示した共和党議員について、米国を損ねる行動として非難。「われわれが投票結果を覆せば、米国は永遠にダメージを受ける」と述べた。

*内容を追加しました。