[ワシントン 6日 ロイター] - 企業向け給与計算サービスのオートマチック・データ・プロセッシング(ADP)とムーディーズ・アナリティクスが6日発表した昨年12月の全米雇用報告は、民間部門雇用者数が12万3000人減少した。減少は昨年4月以来初めて。新型コロナウイルス感染拡大に歯止めがかからない中、新たな抑制措置が実施され、飲食業を含むサービス業が大きな影響を受けている。

ロイターが実施したエコノミスト調査では8万8000人の増加が予想されていた。11月は30万4000人増と、当初の30万7000人増からやや下方修正された。

MUFG(ニューヨーク)のチーフエコノミスト、クリス・ラプキー氏は「新型ウイルス感染拡大とロックダウン(都市封鎖)措置で米雇用は大きく阻害され、リセッション(景気後退)からの回復がリスクにさらされている」と指摘。「いかなるリセッションにも雇用喪失がその中心にある。昨年末時点の雇用喪失を踏まえると、昨年春の労働市場の苦境が再現される恐れがある」と述べた。

12月はほぼ全ての部門で雇用が減少。製造業は2万1000人、サービス業は10万5000人、それぞれ減少した。

企業の規模別では、小規模企業が1万3000人減、大企業が14万7000人減。一方、中規模企業は3万7000人増加した。

労働省が8日に発表する昨年12月の雇用統計では、非農業部門雇用者数の10万人増が予想されている。11月は34万4000人増加していた。

ムーディーズ・アナリティクスのチーフエコノミスト、マーク・ザンディ氏は「総額9000億ドルの追加経済支援策が効果を発揮し、米経済は2番底の景気後退には陥らない」と予想。ただエコノミストの間では、追加経済対策が導入され、新型ウイルスワクチンの普及で集団免疫が得られても、これまでに失われた雇用が全て回復されるまで時間がかかるとの見方が出ている。

*内容を追加しました。