[ドバイ/ウィーン/ワシントン 4日 ロイター] - イラン政府報道官は4日、中部フォルドゥの地下施設でのウラン濃縮活動について、濃縮度を20%に引き上げる作業を再開したと述べた。同国のメヘル通信が伝えた。2015年のイラン核合意から一段と逸脱するもので、今月発足するバイデン米新政権は難しい舵取りを迫られる。

報道官は「フォルドゥの濃縮施設で、数分前に濃縮度20%のウランを生産する作業を開始した」と述べた。

イランは、米国が核合意から離脱し対イラン制裁を再開したことに対抗し、19年からウラン濃縮などで核合意を逸脱する行動に出ている。

イランは1日、国際原子力機関(IAEA)に、フォルドゥの地下施設で最大20%にウランを濃縮する活動を再開する計画と通達していた。

IAEAはこの日、イランが濃縮度を引き上げたことを加盟各国に報告した。

欧州連合(EU)の執行機関である欧州委員会の報道官は「事実と確認されれば、イランは核合意から著しく逸脱したことになる」とし、「全ての関係各国は合意の存続を望んでいる。関係各国がコミットメントを順守すれば合意は存続できる」と述べた。

核合意で定められた濃縮度の上限は3.67%。これまでに4.5%まで高めていた。核兵器製造には濃縮度90%が必要とされている。

イスラエルのネタニヤフ首相は声明で、イランの濃縮度引き上げは「核兵器開発を継続する意図を示している」とし、「イスラエルはイランによる核兵器製造を容認しない」と表明した。

米国務省報道官は「イランがフォルドゥの地下施設で濃縮度を20%に引き上げたことは、核を利用した脅しを一段と推し進める意向を明らかに示している。こうした試みは今後も失敗する」と述べた。

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