[東京 2日 ロイター] - 新型コロナウイルスの感染が急拡大する東京など首都圏の1都3県は2日、政府に緊急事態宣言を出すよう要請した。すでに飲食店などに時短営業を求めているが、法的根拠があるさらに強い措置が必要と判断した。4都県の知事と会談した西村康稔経済再生担当相は、危機的な状況を共有する一方、発出するかどうかは専門家の意見を聞く必要があるとの認識を示した。

東京都の小池百合子知事、埼玉県の大野元裕知事、千葉県の森田健作知事、神奈川県の黒岩祐治知事が同日午後、西村康稔経済再生担当相と会って宣言の発出を求めた。

会談後、4知事と揃って記者会見した西村氏は、「緊急事態宣言の発出も視野に入るような危機的な状況になっていること、こうした危機感を共有した」と述べた。実際の判断は専門家の意見を聞く必要があると説明し、「新年できるだけ早いタイミングで分科会を開かないといけないと思っている」と語った。

同時に西村氏は4知事に対し、1)飲食店(カラオケ・バー含む)の閉店時間を午後10時から午後8時に前倒し、酒類の提供は午後7時までとすること、2)企業のテレワークを徹底すること、3)職場・学校の感染防止策を徹底すること、4)イベントの開催要件を徹底すること──を求めた。

西村氏は、時短営業に協力する店舗に都や県が支払う協力金を支援するため、地方交付金の拡充を検討する考えも明らかにした。

4知事と西村氏の会談は3時間半に及んだ。小池都知事は会談後、記者団に対し「1都3県の陽性者の状況、医療体制の現状から、ここで直ちに人流の抑制の徹底が必要と判断した」と述べた。その上で、政府に対し、新型コロナ対策の特別措置法を早期に改正することや、緊急事態宣言を出す場合に一定の周知期間を設けること、水際対策を強化することなどを要望したことも明らかにした。

千葉県の森田知事は「私たちは争うことでなくコロナに勝つことを頭に入れないといけない」と強調し、政府側と見解の相違があったことも示唆した。

首都圏では感染拡大に歯止めがかからず、東京は12月31日に1日の新規感染者が1337人と、初めて1000人を超えた。同日夕に関係閣僚と対応を協議した菅義偉首相は、記者団から緊急事態宣言を出す可能性を問われ、「今の医療体制をしっかり確保して、感染拡大回避に全力を挙げる。このことが大事だと思っている」と述べた。

緊急事態宣言は特措法に基づき、地域と期間を定めて首相が出す。対象となった都道府県の知事は、法的根拠を持って外出や店舗営業の自粛、施設の使用制限などを要請できる。

しかし、現在の宣言は強い強制力を伴わないことから、政府はコロナ対策の実効性を高めるため、罰則規定を盛り込むことも視野に特措法の改正を検討している。

政府は昨年4月7日から(訂正)東京、神奈川、埼玉、千葉、大阪、兵庫、福岡の7都府県に緊急事態宣言を発出した。その後、全国に対象を広げ、5月25日に解除した。

*2日配信の記事の最終段落で、「昨年4月6日から」としていた緊急事態宣言の発令時期を「昨年4月7日から」に訂正しました。

(竹本能文、中川泉 編集:久保信博)