2021/1/23

【高原豪久】健全な危機感をいかに持ち続けるか

ライター&編集者
2001年に39歳で社長に就任。当初はその経営手腕を不安視されるも、圧倒的な実績で外野の雑音を跳ね返したユニ・チャームの高原豪久社長。

生理用品や紙おむつなど国内の事業基盤を強化するとともに、新興国を中心とする海外展開を加速。80を超える国や地域に進出して現地ニーズを掘り起こし、社長就任時に約1割だった海外売上高比率を約6割に、売上高を3倍にするなど、同社を大きく躍進させた。

なぜ創業者である父のカリスマ経営から、社員が自立的に動く全員経営へと転換できたのか。海外戦略、急成長を支えた人づくりなど、社長人生20年で培われた経営の要諦を語る。(全7回)

順境にある時の心得

新型コロナウイルスの感染拡大で、当然ながら当社も大きな影響を受けました。感染予防意識の高まりなどで、国内ではマスクやウェットティッシュ市場が拡大し、通常の年と比べると、3、4倍の売り上げになりました。
一方で、海外では苦戦を強いられています。主にインド、インドネシアで一部の店舗閉鎖や物流、消費行動の制限にともなう紙おむつの使用機会減少、買い控えなどが起こり市場が縮小し、売り上げも収益も少なからず減少しました。
結果として、全体的にはややプラスといった状況です。決して手放しで喜べる状況ではありませんが、より厳しい経営環境に置かれている方々から見れば恵まれていると言えるでしょう。
私が座右の書としている明治・大正時代の教育者、新渡戸稲造による『修養』に「順境にある時の心得」という章があります。順境とは、自分の欲するままに、事が進行する場合をいいます。
人が油断するのは、とかく順境にあるときです。『修養』では、順境の人の警戒すべき危険として以下の5つが挙げられています。
一、順境の人は傲慢となりやすい
二、順境の人は職業を怠りやすい
三、順境の人は恩を忘れやすい
四、順境の人は不平家となりやすい
五、順境の人は調子に乗りやすい
二の「職業を怠りやすい」は、努力を怠るようになるということです。
私が消費者やお取引先、株主からの「一次情報」と接することに貪欲なのは、この「順境にはやる5つの病」にかかっていないかを自問するためでもあります。

健全な危機感を持ち続けるには

とはいえ、人は順調に物事が運んでいるとき、有頂天になりがちです。どうしたら慢心を戒め、健全な危機感を持ち続けられるのでしょうか。