2020/12/28

「ポスト真実」の時代に、情報の本質を見抜く力とは?

InFact 編集長
今日から1週間、【「変わりゆく世界」での必読書】と題したブックガイド特集を掲載する。

この連載は、ビジネス、報道、国際政治、マネーなど各分野の第一線で活躍するプロフェッショナルに、これからの時代に必要な「視点」を身に付けるための「必読書」を紹介してもらうというものだ。

ぜひこの年末年始、じっくり腰を据えて読書に取り組み、見識と感性に磨きをかけてほしい。
2020年は「ニュース」に揺れた1年だった。
新型コロナでも米大統領選でも、まるでパラレルワールドのようにまったく異なる意見がメディアに流れ、何を信じればいいのか途方に暮れた人も少なくないだろう。
近年、『ファクトフルネス』(日経BP)が世界的ベストセラーになるなど、「ファクト(データに基づく事実)」に対する関心は高まっている。
一方、アメリカのトランプ政権は、自らが示した「事実とは異なる情報」を「オルタナティブ・ファクト(もうひとつの事実)」と称し、メディアから反論を受けても一切引き下がらなかった。
いまや世界は、事実であるかどうかに関係なく、人の感情に強く訴えかける情報が世の中を動かす「ポスト・トゥルース(Post Truth)」の時代に突入している。
様々な情報が錯綜する中で、ニュースの本質を見抜くには、どのような視点を持つべきなのか?
調査報道とファクトチェックを専門とするメディア「インファクト」の立岩陽一郎編集長に、これからの時代に欠かせない「ニュースを見る目」を養うための5冊を挙げてもらった。
立岩陽一郎(たていわ・よういちろう)
ジャーナリスト。1967年、神奈川県生まれ。NHKでテヘラン特派員、社会部記者、国際放送局デスクとして主に調査報道に従事。「パナマ文書」取材に中心的に関わった後、2016年12月にNHKを退職。在職中に留学した米ワシントンDCのアメリカン大学での客員研究員を経て、調査報道とファクトチェックを専門とする「インファクト」を設立して編集長に就任。新刊『ファクトチェックニッポン』(徳間書店)『コロナの時代を生きるためのファクトチェック』(講談社)が発売中。