2021/1/14

性教育が不足する日本で、「自分の体」を取り戻すには

性生活、妊娠、出産などについて、本人が決定権を持つという概念、セクシュアル・リプロダクティブ・ヘルス&ライツ。日本に住む私たちにとっては当たり前のことで、どこか発展途上国で叫ばれている概念に思える。
しかし、日本の数々の政治家の発言や、昨今の緊急避妊薬の処方の議論に目を向けると、その概念を軽んじる政治の姿が浮かぶ。
この危険性を、ジェンダーやセクシュアリティに関する執筆をしてきた、文筆家の牧村朝子氏が紐解く。

「生殖と所有」の危うさ

「モテる」と「持てる」は、同じ音。考えてみると、興味深い。
「もつ」という言葉を、明治時代最初の国語辞典と言われる『言海』*1で引くと、こんな解説が載っている。
 “所有ス。「妻ヲ-」「子ヲ-」「金ヲ-」”
 “「身ヲ以チテ國ニ殉ス」”
 “保チ守ル。「家ヲ-」”
家に財産を「持つ」。それを「以て」、国家が「保つ」ように身を捧げる。「もつ」という日本語は、家、ひいては国家という仕組みの中で、所有する/所有される人間関係を編みあげてゆく。