新型コロナの変異株、日本でも感染確認。世界で報告相次ぐ

変異株が国内で確認されるのは初めて。年齢は10歳未満から60代までの男女5人で、60代の男性は倦怠感の症状があり、4人は無症状だった。
東京の羽田空港国際線ターミナル(2020年3月30日撮影)
東京の羽田空港国際線ターミナル(2020年3月30日撮影)
KAZUHIRO NOGI via Getty Images

イギリスを中心に感染が広がっている新型コロナウイルス感染症の「変異株」。

12月25日に厚生労働省が、日本国内でもイギリスから到着した5人から、変異した新型コロナウイルス感染が確認されたと発表した。国内で変異株の感染者が確認されたのは初めて

イギリスから到着の飛行機。濃厚接触者はおらず。

変異株が検出されたのは5人で、10代未満〜60代の男女。60代の男性は倦怠感の症状があり、4人は無症状だった。2人は12月18日と20日に羽田空港に、3人は12月21日に関西空港に到着した。

朝日新聞デジタルなどによると、5人は現在宿泊施設で療養しており、濃厚接触者はいないという。

国立感染症研究所の脇田隆字所長は「国内で拡大すると流行をさらに広げる可能性がある」とし、「病原性やワクチンの有効性にはわからない点があり、分析をしっかりやっていく」と説明している。

日本の水際対策は? 今後さらに強化の方針

12月21日、加藤勝信・官房長官は定例記者会見で、イギリスで変異種の確認が相次いでいることを受け、日本の水際対策についての考えを示していた。

もともとイギリスを「上陸拒否対象国」としていることを挙げ「感染状況などを見つつ慎重に対応していく」と話した。

「これまでも国民の健康と命を守ることを最優先に、機動的な水際措置を講じてきた。イギリスはもともと上陸拒否対象国に指定をしていて、特段の事情のない限り新規入国は原則禁止にしている。感染状況などを見つつ慎重に対応していく」と状況を見守る考えを示した。

新規入国した場合も、出国前72時間以内のウイルス検査や、日本の検疫での検査、さらに自宅やホテルでの14日間待機などの措置をとっていた。

NHKによると12月26日以降は、変異株への感染が相次いで報告されていることを受け、水際対策をさらに強化する方針だという。

変異種とは? 感染力、最大で1.7倍か

記者会見するイギリスのボリス・ジョンソン首相(2020年12月19日)
記者会見するイギリスのボリス・ジョンソン首相(2020年12月19日)
ASSOCIATED PRESS

WHOによると、変異株の名称は「VUI-202012/01」。イギリスを中心に、感染が広がっている。

ロイター通信によると、イギリスのボリス・ジョンソン首相は、19日の記者会見で変異株について「致死率が高いことや、重症化しやすいことを示す証拠はない。ワクチンが、変異種に対して効果が低いことを示す証拠も今のところない」と説明した。

ジョンソン首相は「かなり不確かではある」と前置きした上で、「変異株の感染力は、古い種よりも最大で70%高い可能性がある」と述べた。一方で、ジョンソン首相は「まだ分からないことがたくさんある」ことも強調している。

WHOの21日の発表によると、変異株「VUI-202012/01」はイギリスのほかに、オーストラリア、デンマーク、イタリア、アイスランド、オランダを含むいくつかの国で確認されている。時事ドットコムニュースによると、25日にフランスやアイルランドでも確認。世界各国からの報告が続いている。

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