2021/1/5

【岩澤 脩】SaaSが勝ち残るための「3つの重要トレンド」

UB Ventures ベンチャーキャピタリスト
2020年のIT業界は、コロナが追い風となり国内外で、クラウド型のインターネットサービスを提供する「SaaS(Software as a Service)」の普及が加速した1年でした。
2021年もSaaSが話題になるのは間違いないでしょう。
しかし、SaaSが日本経済をけん引する「産業」となれるかどうかは、2021年にかかっていると言っても過言ではありません。
そもそも日本で「SaaS企業」と呼べる会社は、上場会社が約30社、未上場企業は約400社あります。
しかし、上場するSaaS企業の時価総額を足し合わせても、2兆7000億円程度で、東証全体の時価総額の0.4%にすぎません。
一方のアメリカは、BVPナスダック・クラウド・インデックスを構成する上場52社で時価総額は計1.95兆ドル(202兆円)。NYSE、NASDAQ全体(45兆ドル)の4%を占めています。
有力SaaS企業のIPO(新規株式上場)の動向を見ると、2019年は名刺管理のSansan、会計管理のfreeeが上場を果たしました。
(写真:iStock/Tero Vesalainen)
そして、2020年は、情報セキュリティのサイバーセキュリティクラウド、業務支援のrakumo、行動分析ツールのプレイド、アプリ運営プラットフォームのヤプリなども上場しました。
未上場では、海外ファンドから大型調達をしたマーケティングプラットフォームのフロムスクラッチ、人事・労務管理のSmart HR、施工管理のアンドパッドなどの企業群が控えています。
しかし、その次の世代でも同様のモメンタムを維持できるのでしょうか。
2021年は、後年から見ると「SaaSブームの終わり」となるか、「SaaSの産業化のスタート」となるか、勝負の分かれ目となる年になるでしょう。
今回の記事では、2021年以降のSaaS業界の明暗を分ける「3つのトレンド」を紹介していきます。
3つのポイント
①「1業務=1プロダクト」の世界へ
②「ARR100億円」の壁
③プロダクトがプロダクトを売る
Slackはなぜ買収されたのか
まずは、グローバルにおけるSaaSの大きな動向から見ていきたいと思います。
2020年のSaaS業界で最もインパクトのあったニュースは、米セールスフォース・ドットコムによる米スラック・テクノロジーズの買収です。
Slackの買収を決めたセールスフォースのマーク・ベニオフCEO(写真:AP/アフロ)