この連載について
独自の感性と能力で、他人とは一線を画したキャリアを形成するトップランナーたち。混沌とする2020年代を、どのように生きようとしているのか。彼らの「人生戦略」に迫る。
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「モンスターストライク」を主力としたスマートデバイス向けゲームの提供。その他、プロスポーツチームや競輪など公営競技関連への投資や、SNS「mixi」、写真・動画共有アプリ「家族アルバム みてね」も。
時価総額
1,926 億円
業績
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多くのコストとリソースをかけながら新たな事業仮説を立証するには社内外への高度な説明責任が必要で、どんなに優秀なビジネスパーソンでも折れずにやり遂げるのは難しい。新規事業は失敗が多いと言われますが、失敗する前の段階で止めざるを得なくなることも多い。
だからこそ、創業経営者だけに許される有無を言わさぬトップダウンでまずはやり切る。こう宣言するだけでも、プロジェクトに関わるメンバーは雑音に振り回されず事業に専念できるはずです。
今回は、ローンチから約5年が経った「みてね」にフォーカス。世界7カ国語で展開し、すでに150カ国で利用されているとも言われますが、赤字は続いています。しかし、プッシュ文言ひとつ自身で考えているとも言われるほど、このアプリに愛着をもっていらっしゃいます。
振り返れば、20年以上もプロダクトオーナーとして走り続ける異端児は、果たしてどこへ向かおうとしているのでしょうか。人間・笠原健治に迫りました。
!こんなに写真送るのか』誰しも驚く成長記録という習慣をビジネスにおこし、サービスリリースからの五年を『人生で最も幸せな5年間』と言い切る笠原さん。
根源が親としての実体験、この成長を愛おしむきもち、動機の純粋さがこのサービスを伸ばしている。
『動機は純粋か?』大きな決断をする時に創業者が自分に言い聞かせると言ったこの言葉をいまは自分に言いきかせる日々です。
個人的に、ライフイベントに関わるサービスは特殊だと思っている。赤ちゃん・子供、結婚などなど。人生にとって重要だが、それがずっと続くわけではない。ただ、その中で相対的に子供の成長は時間軸が長い。ずっと続くわけではない需要は、LTVにも限界がある。ただ多くのサービスは根源的な需要の時間軸は長くても、実際には色々なほかのサービスや関心ごとがあるから、利用する時間は解約含めてそんなに長くならない。
そのなかで一個のライフイベントに特化してユーザーにより沿ってそこの体験を追求することは、ライフイベントというトリガーがあったときに同じ状況にあるユーザーに使ってもらえる再現性が高いと感じる(ベビー用品のピジョンなどもそう)。そして人種や文化にあまり関係ない根源的な欲求だから世界にも広がっているのではないかと感じる。
“最終的には、グローバルで勝たなければ生き残れない、という危機感もある。”
笠原さんのこの言葉には重みがあります。SNSのmixiで果たせなかった世界制覇を「みてね」で叶えてほしい。
・ワンタップで自分の子供の写真が出てくる(他のアプリだと2~3ステップ位必要)
・自分の子供の写真しかない(他人のどうでも良い投稿・写真が出てこない)
・何も考えずにただ写真を上げれば良い(いいね数を気にしなくて良い)
ただ、これだけプロダクトが素晴らしいと思っていても、あえて課金するハードルは正直高いので、もはや最近Googleがやった様な強制的なサブスク課金をしても良いんじゃないかと個人的には思います。
【追記】
違う表現をすれば、「確実にそこそこ心地良い体験が約束されていること」が肝だと思います。タップして自分の子供の写真が出てきて嫌な思いをする人はいない。一方で、SNSや検索のビジネスモデルでは、幾らカスタマイズ設定しても他人の情報や広告などのノイズは避けられない。みてねはシンプルであるがゆえに、ユーザー体験のボラティリティが少ないのだと思いました。
また、SNSや検索の様なネットワーク効果による障壁は無いですが、みてね上に蓄積されたデータは確実にスウィッチングコストになるので、月に数百円程度の課金であれば多くのユーザーは離脱しないんじゃないかと思います。(少なくとも私はしない)「1年目は無料で2年目から課金」とかどうですかね。既に無数のアイディアは当然考えられているんでしょうけど。