なぜ? 首都圏で「通勤向け特急」が増えている背景JR東が特急「湘南」を運行開始(1/5 ページ)

» 2020年12月24日 08時33分 公開
[小林拓矢ITmedia]

 JR東日本が、通勤向けの特急に力を入れている。常磐線の「ときわ」が時間帯によって通勤客を意識しているほか、高崎線方面「スワローあかぎ」は上りは朝だけ、下りは夕方から夜だけ平日のみ運行する。また中央・青梅線方面の「はちおうじ」「おうめ」も、どう見ても通勤客を対象にした特急だ。

 さらに来春のダイヤ改正では、特急「湘南」が東海道本線方面にデビューする。「通勤ライナー」が特急に格上げされ、車両も新しい車両になっていく。

 なぜ、このような列車が運行されるようになったのか。

JR東日本が、通勤向け特急へ力を入れる背景を考えてみたい(写真提供:ゲッティイメージズ)

通勤ライナーと新特急

 国鉄時代の末期に、上野から北へ向かう列車の中に「新特急」と呼ばれる列車があった。列車種別としては「特急」だが、手軽に乗れることを意識して運行される近距離の列車で、黒磯方面への「なすの」、前橋方面への「あかぎ」、草津温泉への観光客を意識した「草津」があった。

 さらに「通勤ライナー」と一般に呼ばれる列車も運行されるようになった。特急車両の運用間合いを利用し、通勤客に料金を上乗せして着席してもらおうという列車だった。

 これらの列車は1990年代に多く運行され、特に帰宅時間帯は人気だった。その中でも多く運行されていたのが「湘南ライナー」だ。

 「湘南ライナー」は、東京〜小田原間で運行されている。また、新宿〜小田原間では「おはようライナー新宿」「ホームライナー小田原」も運行されている。さらには特急車両を中心に、ライナー列車専用車両として製造された215系も使用されている。

 これら列車の人気が、JR東日本に「通勤向け特急」を走らせようという意識を抱かせた。

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