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【緊急告知】大至急マイナンバーカードを取得して「青色申告特別控除65万円」をゲットしよう

 2020年、大幅な税制改正が行われ、個人事業主を取り巻く税の仕組みが変更された。2019年分までは、確定申告書は郵送しても、税務署に持参しても、e-Taxで電子申告しても、「青色申告特別控除」の額は65万円だった。これが2020年分から、e-Tax以外の提出方式では55万円、e-Taxで提出すると65万円と、控除額に差が付けられた。e-Taxで確定申告するためにすぐに準備したいのがマイナンバーカード。今回はマイナンバーカードの取得方法や確定申告までにマイナンバーカードが交付されなかったときの対処法、パスワードに関する注意点など、マイナンバーカードにまつわるさまざまな情報をお届けしよう。


「青色申告特別控除」が改正、e-Tax以外の申告は控除が減る

 2020年(令和2年)の税制改正をザックリ確認しよう。影響の大きな改正は基礎控除だ。2019年までは、収入のある人は個人事業主、サラリーマン、パート、アルバイトの全てが38万円。2020年から一部高額所得者を除き48万円となった。

 個人事業主(フリーランス)で、青色申告をしている人が受けられる「青色申告特別控除」は、2019年分までは提出方式にかかわらず65万円。2020年分からは、e-Tax提出以外の人は55万円に減る。基礎控除の10万円増があるのでプラスマイナスゼロだ。ただし、e-Taxで確定申告を提出した人は青色申告特別控除が従来と同じ65万円。基礎控除が48万円になるので、控除額は合計10万円増えることとなり、減税となる。白色申告の人は基礎控除が38万円から48万円となる。

「青色申告特別控除」の改正イメージ。e-Taxで確定申告を行えば控除額が増え、減税となる(国税庁の資料を加工して掲載)

 青色申告の人でこれまで“e-Taxスルー”をしてきた人は、2020年分の確定申告をe-Taxに切り替えることでプラス10万円の控除を受けられることになる。従来どおりの郵送でも持参でも増税にはならないが、頑張ってe-Taxに切り替えてプラス10万円の控除をゲットしよう。

 新型コロナウイルス感染症の影響で、密になりがちな確定申告提出会場の利用を避けたい人は、思い切って青色申告ソフトを利用して自力で申告書を作成、さらにe-Tax提出まで進むことができれば密も避けられ、納税額も減らすことができる。

急げ、マイナンバーカードは一部自治体で渋滞発生中

 筆者はマイナンバーカードの交付について今年2月の記事で「申請から交付通知書(ハガキ)が送られるまでの期間は……来年の年明けには2~3カ月になるかもしれないので、早めに申請・取得をしよう」と書いた。それはe-Taxで確定申告をしようと思う人が急増する可能性について言及したもので、新型コロナウイルス感染症の影響は考えていなかった。

 ジワジワと普及していたマイナンバーカードに火が付いた。覚えている人がいるだろう。今年の春、10万円の特別定額給付金の申請でにわかにマイナンバーカードに注目が集まり、すでに取得している人が忘れてしまったパスワードの更新のため役所に殺到した。マイナポイントも追い風になったのだろうか。人口に対する交付枚数率は今年後半からグッと角度を変えて上昇し、2020年12月で23.1%となった。交付待ちの人がかなりいるので、実質はほぼ25%、4人に1人はマイナンバーカードを持っていると言えそうだ。

 2020年(令和2年)分の確定申告は、2021年2月16日~3月15日。すぐにマイナンバーカードの申請をして2カ月半で受け取ることができれば、ギリギリ確定申告に間に合うことになる。「マイナンバーカード総合サイト」では、申請すると「概ね1か月」で交付通知書(受け取りのためのハガキ・封書)が届くとなっているが、「ゆとりじゃん」とノンビリしていてはいけない。一部自治体でマイナンバーカードの申請が急増し、渋滞が発生しているようだ。

「マイナンバーカード総合サイト」は「概ね1か月」となっているが……

 サクッと検索すると世田谷区はマイナンバーカードの受け取りに3カ月以上、台東区は最大約3カ月、江東区は2~3カ月、杉並区大田区は2カ月程度と長期化している。都内だけではなく筆者がオフィスを置く川崎市は約3カ月から3カ月半と長い。これだけ見るとすでに時間切れ、絶望的にも思えるが、八王子市は概ね1カ月半から2カ月、調布市は約1カ月とそれほど長くはなさそうだ。多くの自治体はすぐに申請すれば間に合うと思われるが、念のため自分の住む自治体の状況を確認しよう。

世田谷区は3カ月以上と長期化している


さらに渋滞が加速? 「QRコード付きマイナンバーカード交付申請書」の送付が始まった
まだマイナンバーカードを持っていない人に「QRコード付きマイナンバーカード交付申請書」の送付が始まった

 令和4年度末(2023年3月)までにマイナンバーカードの全世帯普及を目指している総務省は、まだマイナンバーカードを持っていない人に対して、申請に必要な「QRコード付きマイナンバーカード交付申請書」の送付を開始した。11月下旬から文京区、神戸市、熊本市、宮崎市および延岡市に居住する一部の人に先行送付、それ以外に地域の人には2020年12月末から2021年3月にかけて順次発送される。

 マイナンバーカード普及の喚起策なので、これから3月にかけて申請者が増え、今後ますます交付までの期間が長くなる可能性がある。

 とにかく1日でも早くマイナンバーカードの取得申請をしていただきたい。間に合いそうにない地域の人も、2020年の確定申告期間が新型コロナウイルス感染症の影響で延長されたように、2021年も延長があるかもしれないので、諦めないで申請をしていただきたい。

マイナンバーカードの申請、まずは「申請書ID」と「顔写真」を準備

 では、具体的にマイナンバーカードを申請方法を見ていこう。申請方法は「スマートフォンによる申請」「パソコンによる申請」「まちなかの証明写真機からの申請」「郵便による申請」の4つ。INTERNET Watchの読者はスマホかパソコンを選択する人が多いだろう。

 スマホ、パソコンで申請する場合、事前に準備したいのは、申請に必要な「申請書ID」と「顔写真」。「申請書IDってなんだっけ?」と思われる人は多いだろう。申請書IDは2015年末ごろから配布された「マイナンバー通知カード」(マイナンバーが記載された縦長の紙)か、2020年6月ごろから配布された「個人番号通知書」、あるいは送付が始まったばかりの「QRコード付きマイナンバーカード交付申請書」に、申請に必要な申請書IDと交付申請用QRコードが載っている。

5年前に配布され、「まだ届かない」と話題になった「マイナンバー通知カード」。キリトリ線の上の部分が通知カードで、その下は「個人番号カード交付申請書 兼 電子証明書発行申請書」
2020年6月ごろから発送された「個人番号通知書」にも申請書IDが記載されている
発送が始まった「QRコード付きマイナンバーカード交付申請書」。正式名は「個人番号カード交付申請書 兼 電子証明書発行/更新申請書」

 もう1つ準備したいのは顔写真。スマホやパソコンでオンライン申請をする場合の画像は以下の点に注意したい。

  • 6カ月以内に撮影した写真(正面、無帽、無背景)
  • 明るく鮮明な写真(白黒写真でも可)
  • ファイル形式:JPEG
  • カラーモード:RGBカラー(CMYKカラー等は不可)
  • ファイルサイズ:20KB~7MB
  • ピクセルサイズ:幅480~6000ピクセル、高さ480~6000ピクセル

 これらに加え「加工された画像などは、受付できない場合があります」となっている。「受付できない場合」となっているので、本人が確認できれば多少の加工は大丈夫かもしれないが、盛りすぎは避けよう。

 オンライン申請において申請不備の8割弱が顔写真不備によるもの、らしい。「顔写真のチェックポイント」というページも用意されているので、申請し直しにならないように注意しよう。スマホからの申請では、申請の操作中にスマホで自撮りすることも可能だが、写真の不備が懸念されるので申請前に撮って確認・保存した顔写真を使用したい。

「顔写真のチェックポイント」のページを確認して、顔写真NGを避けよう


マイナンバーカードの申請作業は簡単

 申請書IDと顔写真がしっかり準備できたらマイナンバーカードの申請は8割完了。ネットのコメントでも「マイナンバーカードの申請作業は簡単」という声が多い。マイナンバーカード総合サイトの「マイナンバーカード交付申請」にアクセスしよう。

 スマホもパソコンも操作の流れは同じ。

  1. メールアドレスの登録
  2. 顔写真登録
  3. 申請情報登録
  4. 申請完了

となる。

 スマホからの申請でアドバンテージがあるのは、QRコードの読み込みで申請書IDが自動入力されること。23桁の申請書IDを2回入力する必要があるので、パソコンよりスマホがお勧めだ。それ以外は特に難しい点もなく、INTERNET Watch読者なら数分で作業は完了するだろう。ザックリ流れを画面で見ていただきたい。

まずは利用規約の確認から
QRコードを利用すれば、申請書ID(23桁)は自動入力されている……うれしい
名前とメールアドレスを入力
画像認証を行って確認をタップ
確認画面に申請書ID、名前、メールアドレスが表示される。間違いがなければ登録をタップ
これでメールアドレスの登録が完了。すぐにメールが送られてくる
届いたメールに記載されたURLにアクセスし顔写真を登録

 顔写真をアップロードし、生年月日、電子証明書の発行を希望するかどうか(希望しよう)、点字表記を記載するか(任意)を選択したら申請が終了する。あとは1~3カ月待つだけだ。

こちらはパソコン申請の画面。申請書IDとメールアドレスの登録から始めよう


顔写真がないんですけど~

 スマホの自撮りが苦手、自撮り棒がない、白バックの壁がない、できれば証明書の写真は綺麗に撮りたい……さまざまな理由で顔写真が用意できない人は「まちなかの証明写真機からの申請」を利用しよう。

 まちなかの証明写真機とは、履歴書などの写真を撮るためのボックスだ。マイナンバーカードの申請に対応している証明写真機はこの5つ。

 申請書IDのQRコードを利用して、証明写真機で撮った顔写真を使用して直接申請を行うことができる。「今どきの証明写真機はLTE回線を持っているのか?」と、証明写真機と何十年も縁がない筆者は驚いてしまったが、“写真がない人”には強い味方になりそうだ。

 街で時々見かけるが、いざとなると「どこにあったっけ?」と思う人もいるだろう。例えば大日本印刷グループのDNPフォトイメージングジャパン富士フイルムは設置場所をインターネットで地図表示が可能だ。アクセスしやすい証明写真機を簡単に探すことができる。

富士フイルムの地図検索画面の例

 地図表示で確認すると、クルマで10分ほどの距離に証明写真機が2台。実機をハシゴして見に行ってきた。1台目はコンビニの駐車場に設置されたDNPフォトイメージングジャパンの証明写真機「Ki-Re-i」。個人番号カード交付申請書を使って、申請までこの証明写真機で完了できる。中に腰掛けると音声アナウンスが流れ、タッチパネル画面から「マイナンバーカード交付申請用」を選択、申請方法などを選択したのち、交付申請書のQRコードを読み取らせ、次に顔写真を撮影する流れだ。

DNPフォトイメージングジャパンの証明写真機「Ki-Re-i」(※筆者が見てきた証明写真機とは異なる場所に設置されているもの)

 もう1台はドラッグストアの駐車場に設置された富士フイルムの「証明写真ボックス」。QRコードの読み取りの前まで操作してみた。

設置場所はドラッグストアの駐車場
こちらも、マイナンバーカードの交付申請までできる
「マイナンバーカードを申請する」を選択
「証明写真機で申請」を選択
QRコードを読み取り、次に顔写真を撮影する
QRコードの読み取りを開始する

 デジカメが普及し始めた20年ほど前から証明写真機の中に入ったことのない筆者だが、音声アナウンスもあり、操作は分かりやすい印象だった。これはアリだなと思う人は選択肢として覚えておこう。

「申請書ID」が見あたらないときは?

 「申請書IDが分からない?」って人もいるだろう。申請書IDが記載された「マイナンバー通知カード」「個人番号通知書」「QRコード付きマイナンバーカード交付申請書」のいずれも見つからない人は、個人番号カード交付申請書をダウンロードしよう。ダウンロードしたPDFの2ページ目の記載方法を見て記入し郵送するか、お住まいの市区町村窓口において申請書IDが記載されたマイナンバーカード(個人番号カード)交付申請書を入手しよう。

 これでマイナンバーカード取得の前半となる申請は完了だ。最大の山場は申請書IDが記載された“紙"を見つけることだ。

忘れたころに「交付通知書」が届く

 地域差はあるが、おそらく3週間~3カ月くらい経つと自宅にマイナンバーカードの「交付通知書」が届く。ここから後半戦だ。マイナンバーカードは受け取りの方法も地域差があるようなので、各自の自治体のルールに従ってほしい。

 筆者がマイナンバーカードを申請したのは昨年、2019年7月22日。筆者は住民票は名古屋市の自宅マンションで、普段は川崎市のオフィス兼住居で仕事をしているため、交付通知書は8月の上旬に名古屋の自宅に届いた。当時は3週間ほどだ。マイナンバーカードの情報を見ることができる「JPKI利用者ソフト」で証明書を表示すると、発行年月日は令和元年(2019年)7月27日となっているので、申請して5日でマイナンバーカード作成の処理が行われた形跡がある。夜中にポチッと注文するとその日に届くネット通販と比較してはいけないが、交付通知書が届くのに数週間~数カ月かかるのはいかがなものかという気がする。

「JPKI利用者ソフト」を使用するとマイナンバーカードの情報を見ることができる
証明書を表示すると、発行年月日は申請から5日後の令和元年(2019年)7月27日となっている

 送られてきた交付通知書の表面は目隠しシールが貼られていて、はがすと交付場所が記載されている。記載された交付場所は区役所で、「なぜ目隠しする?」と思った。裏面にはマイナンバーカードの受け取りには交付通知書(受け取ったハガキ)、免許証などの本人確認書類、マイナンバー通知カードが必要と書かれていた。

交付場所は目隠しシールで隠されていた
はがすと区役所と明記。それシールで隠す必要がある?
裏面には受け取りに必要なものと暗証番号の説明が書かれていた

 交付通知書の裏面にもシールが貼られていて、はがすと住所、氏名、捺印に加え、4つの暗証番号(パスワード)を記入するようになっている。暗証番号は、①署名用電子証明書暗証番号、②利用者証明用電子証明書暗証番号、③住民基本台帳用暗証番号、④券面事項入力補助用暗証番号となっているが、名称も長いし意味も不明なので普通の人は区別できないと思われる。

住所、氏名、捺印に加え、4つの暗証番号を記入する

 ①の暗証番号だけ英数字6文字以上16文字以下で、英字は大文字、英字と数字をいずれも1文字以上を含む必要がある。INTERNET Watchの読者なら“よくある”パターンだろう。英文字だけ、数字だけはNG、英文字を大文字・小文字を含めるパターンよりは覚えやすい気がする。仮に6文字の暗証番号の例なら

AB4526……○
Ab4526……小文字は×
124526……数字だけは×
ABDCWE……英文字だけは×

といった感じだ。残りの②③④の暗証番号は数字4桁。注意書きとして「同じ暗証番号を設定することもできます」となっているので、「忘れそうな人は同じ番号でいいよ、同じ番号にしたら、同じ番号にしろよ」と筆者はスプーンカーブで神の声を聞いた気がした←嘘です。

 前半の山場が「申請書IDが記載された“紙"を見つけること」なら、後半の山場はこの「暗証番号」だ。前述したとおり、10万円の定額給付金をマイナンバーを利用して申請しようとした人が暗証番号を失念して役所に殺到して密となった。①の暗証番号は5回、②③④は3回連続で間違えるとマイナンバーカードはロックされ使用できなくなる。解除は役所に行かなければならない。忘れにくい番号にするか、記入したときにスマホで撮影しておくなど、忘れないための対策をしておこう。

 実際にマイナンバーカードを使用してe-Taxで確定申告を行うと、①②の暗証番号は頻繁に入力する。幸いなことに?親切なことに、「署名用パスワードは英数字6桁~16桁」「利用者証明用パスワードは数字4桁」と文字数を示唆してくれるので②③④を同じ数字にしておくと間違う頻度は減るだろう。セキュリティに対する考えは人それぞれなので自分で判断するしかないが、仮に①=AB4526、②③④=4526といったパターンにしておけば、筆者のようなジジイでも大丈夫そうだ。

①の名称は覚えていなくても英数字6桁~16桁の表記で判断できる
②~④は4桁とヒントが書かれているので同じ数字なら忘れにくい


暗証番号を忘れた人の地獄絵図

 確定申告の時期に知人がFacebookに書いた、マイナンバーの暗証番号に関する地獄絵図を紹介しよう。

 マイナンバーのパスワードは5回ミスでロック。仕方なく区役所でパスワードを初期化。区役所でそのまま手続きしようとしたらまたもエラー。これはもしかして……と窓口で確認したら、「カードのパスワードは書き換えだけど、マイナンバーのサーバー側は反映に時間かかることがある」。それを早く言ってくれよ……。

 5回ミスのうち、窓口での説明であえてミスしたのを含めて4回を使い果たし、1日待ってくださいと言われたので翌日試すもエラーが出て再度ロック。心が折れながら再度区役所に赴いてパスワードを変更。今度は怖かったので2日開けてから申請してやっとクリアできた。

 暗証番号を決めたら、役所に行って受け取りだ。筆者は免許証、マイナンバー通知カード、交付通知書(ハガキ)を持って名古屋の地元区役所へ。カウンターの端にマイナンバーカード用の端末が設置されていて、数分でマイナンバーカードを受け取ることができた。

区役所ではマイナンバーカード交付の専用スペースに端末が用意されていた

 記事やネットの情報、知人の体験を聞くと、交付通知書はハガキと封書があるらしい。時期的に以前はハガキで現在は封書なのか、自治体によって異なるのかは不明だが、主な記載内容に差はなさそうだ。受け取りの窓口が予約制の自治体もある。この場合は予約のための番号などが交付通知書に記載または同封されている。事前に役所のウェブサイトで予約が必要か否かを確認しておこう。

 最近マイナンバーカードを取得した神奈川県在住のINTERNET Watchの編集者は「封書が届き、予約はなし、窓口は約2時間待ちだった」とのこと。地域差はあるが、申請から受け取りまでは長い道のりになりそうだ。無事にマイナンバーカードを取得して、青色申告特別控除の65万円をゲットできるよう読者の健闘を祈る。

確定申告までにマイナンバーカードが間に合わない。延長もなかったら

 先のことは分からないので、マイナンバーカードの取得が3月15日の確定申告期限に間に合いそうにない場合も想定しておこう。それに加えて確定申告の期限の延長も行われなかったら、e-Taxによる申告ができず青色申告特別控除は65万円から55万円に減額されるのか?

 その場合は「ID・パスワード方式」によるe-Taxの申告が可能だ。「ID・パスワード方式? なんだそれ?」と思った人は筆者が昨年書いた「確定申告の「ID・パスワード方式」でできること/できないこと」を参照いただきたい。

 ザックリ説明すると、マイナンバーカードがなくても、ID・パスワード方式でe-Taxによる確定申告が可能。ID・パスワードは税務署に行って手続きをする。所轄の税務署を含め全国どこの税務署でも手続きができ、即日発行される。青色申告ソフトと連動しないので、国税庁のウェブサイトの「確定申告書等作成コーナー」で手入力による申告が必要。

 筆者は2018年分をID・パスワード方式を利用してe-Taxで申告。2019年分をマイナンバーカードを利用してe-Taxで申告した。比較すると、マイナンバーカードがあれば、青色申告ソフトから直接e-Taxで申告できメッチャ楽。国税庁の確定申告書等作成コーナーで手入力したID・パスワード方式によるe-Tax申告は面倒で、二度とやりたくない印象だった←あくまで個人の感想です。

 お勧めはしないが、もしマイナンバーカードが間に合わなかったときは、青色申告特別控除の65万円をゲットするため最終手段として覚えておこう。

白色申告の人が、これから青色申告に切り替えられる?

 先日、今年はコロナ禍で、確定申告の申請だけでなく、「青色申告承認申請書」も3月15日以降もずっと受け付けているという情報を目にした。本来は、令和2年分(2020年分)の確定申告を白色申告から青色申告に切り替えるには、2020年3月15日までに青色申告承認申請書を提出しなければならない。これを今年は12月でも受け付けているという噂だ。本当なのか。

令和2年4月に公開された「青色申告をはじめませんか」によると……

 国税庁が令和2年4月に公開した「青色申告をはじめませんか」というPDFを発見。3月15日を過ぎた4月に出された案内に

令和2年分の所得税から青色申告をする場合には、令和元年分の所得税の確定申告期限まで(※)に「所得税の青色申告承認申請書」に必要な事項を記載して、所轄税務署長に提出する必要があります。

と書かれている。さらに※の部分が以下に続く。

(※ 新型コロナウイルス感染症の影響で外出を控えていらっしゃる方へ)

令和元年分の所得税の確定申告については、新型コロナウイルス感染症の拡大により外出を控えるなど、期限内(令和2年4月16日(木))に申告が困難な場合には、期限を区切らず、柔軟に申告書等の提出を受け付けることとしています。

令和元年分の確定申告がまだお済みでない方は、所得税の確定申告書を提出される際に、「所得税の青色申告承認申請書」を併せて提出して下さい。

また、令和2年4月16日(木)以前に令和元年分の確定申告書を提出した方については、感染拡大により外出を控えるなど、同日までの間に「所得税の青色申告承認申請書」を提出することが困難であった場合には、4月17日(金)以降であっても同申請書を提出することが可能ですので、所轄の税務署へご相談下さい。

 これを読むと、今からでも2020年分の確定申告を白色申告から青色申告に切り替えができる可能性はある。

  • まだ確定申告をしていない人は確定申告書と一緒に青色申告承認申請書を受け付けている
  • 4月16日以前に確定申告書を提出した人は、4月16日までに青色申告承認申請書を提出することが困難であった場合には、4月17日以降であっても提出可能

ということなので、まだ2019年分の確定申告をしていない人と4月16日以前に確定申告を済ませた人は、これから青色申告に切り替えられるかもしれない。青色申告特別控除65万円以外にも青色申告のメリットはあるので、該当する人は税務署に問い合わせていただきたい。

「マイナンバーカード」と「青色申告ソフト」はセットで

 筆者は前述したとおり2019年にマイナンバーカードを取得し、2019年分の確定申告は青色申告ソフトで作成したデータをマイナンバーカード+e-Taxで申告した。その前年に行った国税庁の「確定申告書等作成コーナー」で手入力したe-Tax申告と比べ、メッチャ楽になった。長年e-Taxスルーをしていて「郵送でいいじゃん」と思っていたが、青色申告ソフトとマイナンバーカード+e-Taxの組み合わせは極めて良好だった。

青色申告ソフトでe-Taxによる申告を選択
あっと言う間に申告が完了する。メッチャ楽

 マイナンバーカードの申請から取得までは長い期間がかかりそうだ。その間に青色申告ソフトの導入・準備をしておくと確定申告がグッと楽になるだろう。

「INTERNET Watch」ではこのほかにも、サラリーマンと個人事業主がぜひ読んでおきたい税金に関する記事を多数掲載しています。まとめページ『サラリーマンと個人事業主の税金の話』よりご参照ください。