30歳未満17%が仕事失う 報われぬ世代、渇望を力に
パクスなき世界 大断層(3)
あなたは、自分の親よりも豊かになれる自信がありますか――。
「高齢者のような貯蓄など私たちにはない」。英国のイングランド北西部に住むジュリア・フリーマン(29)さんはくじけそうだ。大卒でも定職はなく、幼い2人の子を抱える。新型コロナウイルスの流行に伴うロックダウン(都市封鎖)の影響で、夏に法律事務所を解雇された。やっと得た販売員の仕事も11月の初出勤の日に再び都市封鎖が決まり、失った。
そこから約7千キロ離れたケニアのナイロビでもチャールズ・ソンコ(30)さんが「人生が振り出しに戻った」と嘆いている。ガイドとして月200ドル(約2万円)以上を稼いでいたが、3月に旅行会社を解雇された。結婚の予定も延期した。
国際通貨基金(IMF)の報告書によると、世界で働く18~29歳の17.4%がコロナ禍で失業・休業し、42%の収入が減った。30~34歳も失業・休業は10%を超えた。米国で親と同居する若者は5割超と1930年代の大恐慌以来の高水準だ。
コロナ禍は世界共通の時代体験として「コロナ世代」を生む断層を刻んだ。「#ブーマー・リムーバー」。高齢者ほど重症化や致死のリスクが高いコロナについて「戦後生まれのベビーブーマー世代を取り除くウイルス」
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新型コロナウイルスの危機は世界の矛盾をあぶり出し、変化を加速した。古代ローマの平和と秩序の女神「パクス」は消え、価値観の再構築が問われている。「パクスなき世界」では、どんな明日をつくるかを考えていく。