[東京 21日 ロイター] - 野村証券は、成功報酬型の営業専門職「フィナンシャルアドバイザー」(FA)を来年度から廃止する。金融業界を取り巻く環境が変わる中、野村は昨年から営業体制を見直しており、一般の営業部員とFAとの垣根を取り払って部内の連携強化を図る。

複数の関係筋が21日、明らかにした。FAは給与に占める成果報酬の割合が高く、転勤のない雇用形態が特徴。1998年に国内証券で初めて導入し、現時点で約1540人を全国に配置する。商品提案や資産運用に関するコンサルティングを手掛け、野村の営業力を支えてきた。

一方で独立性が強く、一般の営業部員と円滑な意思疎通が図れないこともあった。今回の変更は「チームとしての総合力を上げる」のが狙いだと、関係筋の1人は言う。

野村は現在のFAは営業部員などに配置転換し、併せて給与体系も見直す。

しかし、FAの廃止は営業能力の高い人材の流出を招く恐れもある。FAの中には支店長を上回る年収を稼ぐ社員もおり、給与が下がれば働く意欲を損ないかねない。「優秀なFAの離職につながる懸念もある」と、別の関係筋は話す。

  

    野村広報部はロイターの取材に対し、「お客様満足度を高めるための営業部門の施策の一環であり、コスト削減が目的ではない」と回答した。

(梅川崇 編集:久保信博)