エズラ・ボーゲル氏死去 ジャパン・アズ・ナンバーワン
朝日新聞デジタル
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日本と中国、両国についての専門家です。元々は、20世紀の米国を代表する社会学者タルコット・パーソンズを指導教員としていましたが、手堅い理論社会学の研究には進まず、国際関係についての著作が中心になっていきました。
若いうちは、日本の中産階級の形成や家族のあり方などについての研究が多く、1978年の『ジャパン・アズ・ナンバーワン』は、そのような日本社会についての研究成果の上に書かれています。
『ジャパン・アズ・ナンバーワン』は、多くの日本人の自尊心を満たし、日本社会や日本の家族制度、教育についての過剰な自信を持たせることにさえなりました。
1980年代になると、ヴォ―ゲル氏の著作は、中国で進行しつつある鄧小平の改革開放に関心が集中するようになりました。日本に関心を失って中国に関心が向いた、ということではなく、米国の立場からすると、東アジアは日本と中国の両方をよく理解して、関係を構築していかなければならない、というのは当然で、必要なことでした。
Living with Chinaという著作もありますが、ヴォ―ゲル氏は、米国が日本と同盟しつつ、中国とも共存していくべき、という路線の提唱者でした。1972年のニクソン訪中前にキッシンジャーに働きかけていたことに見られるように、改革開放が進む中国は、米国+日本とも共存可能、という考え方で、この考え方はトランプ政権まで、米国の主流でした。この考え方が広まるうえで、影響のあった人でした。