2021/1/4

“ありのままの自分”で良いのか?社会人が「ビジネス筋」を鍛えるべき理由

NewsPicks Brand Design editor
 経済ニュースやビジネス書、オンラインサロンなどで、知識をインプットしているビジネスパーソンは多い。しかし、その知識を実際に仕事に活かせている人は、どれほどいるだろうか。
「学んだつもり」にならずに、インプットを成果につなげるにはどうしたら良いか。
 ベストセラー『ビリギャル』の著者であり、塾生の才能を伸ばし続けてきた坪田塾塾長の坪田信貴氏と、ビジネススキルを楽しみながら身につけられる「BBTナイトGYM」の高松康平氏に話を聞いた。

“白黒の世界”をカラーに

── 坪田さんは、生涯にわたり学び続ける必要性を発信していらっしゃいますが、改めてビジネスパーソンが学ぶ意味とは、なんでしょうか?
坪田 学ぶことで、白黒の世界がカラーになっていく。僕はそんな感覚を持っています。
 たとえば、企業の財務諸表を見たとしましょう。読み解き方を知らなければ、それは難しい言葉と数字の羅列にしか見えません。何も意味がわからない、「白黒」の状態です。
 ですが財務諸表の読み方を勉強した途端、そこに並ぶ言葉や数字が一気に意味を持つんです。誰かの分析を鵜呑みにするしかなかったのが、「今年営業利益が上がったのは、これが要因では」といった自分なりの考察も与えられるようになる。
 これがまさに、世界が白黒からカラーに変わる瞬間です。より多くを学ぶことで成長し、見える世界が変わり、心が豊かになっていく。これってまさに、人生の目的そのものではないでしょうか。
高松 学ぶことは人生の目的、本当にそう思います。
 さらに今は、ものすごいスピードでビジネス環境が変化している時代。自分自身を常にアップデートしていかないと、その変化に対応できません。
 結局自分が生み出すアウトプットは、自分が学んだものの結果でしかないのです。だからこそ日頃から学んでおかないと、自分が生み出す成果の鮮度も質も落ちてしまう。
坪田 一言でいえば、「いくつになっても、学び続ける以外の選択肢がない」のです。
 年齢が上がるごとに、組織で求められる役割は変わっていきます。20代は駆け出し、30代では仕事が増えて部下ができて、40代になったら組織全体を担っていく、という風に。
 若い頃は生涯現場で働き続けたいと思っていたとしても、年齢が上がるにつれて体力が落ちて、違う可能性を探そうと考えを改めることもありますよね。
 役割が変わる、仕事が増える、体力が落ちてくる。こうした変化の中でも、「いや、私はありのままの自分で居続けたいんだ」というのは、無理があります。
 環境が変わる中でもベストを尽くせるようにするためには、自分自身をアップデートしていくしかないのです。

ダメな人間などいない

── 学ぶ必要性を感じつつも、長く続かない、モチベーションが湧きづらいと悩む人も多いのではと思います。
坪田 「誰かに教わること」は重要だと思います。良い先生を探すんです。人間って、どうしても弱い生き物ですから。独学だと続かないのは、当たり前だと思います。
 僕が常々言っているのは、「ダメな人間はいない、ダメな指導者がいるだけ」ということ。「どうやったら学びが楽しくなりますか?」と相談を受けることがあるのですが、勉強が楽しいと思わせてくれる先生に、まだ出会えていないんじゃないのかなと思うのです。
 成長の一番の原動力になるのは、「憧れ」です。「こうなりたい」という目標が見つかると、人間は前向きになれる。
 昔は身近にいる学校の先生や職場の上司など、出会える人の母数は限られていました。ですがインターネットが広まった今の時代は、憧れの人に出会える確率が圧倒的に増えましたよね。
 こういう時代だからこそ、自分の憧れの人や、「この人から教わりたい」と思える先生を探せばいいのです。
── なるほど。「どんな先生を探すか」「どういう方法で勉強するか」を選ぶときには、何か軸がありますか?
坪田 シンプルに、「自分が楽しめそうか」という視点が一番です。学び始めるときは、「これを仕事に活かせるだろうか」みたいな難しいことは考えなくて大丈夫。没頭すれば自然と知識は身につくし、成果にも現れてきます。
 坪田塾でも、授業を楽しめる雰囲気を作ることはすごく重視しています。生徒が正解したときは「イエーイ!」とハイタッチしたり、解答を間違えたときも「おいおいー!」と派手にリアクションしてみたり。やっぱり、楽しく学べるのが一番成長しますからね。
 先ほどBBTナイトGYMのオンラインセッションの動画を見ましたが、かなり楽しそうなセッション風景ですよね。もっとお堅いスクールを想像していたので、正直驚きました(笑)。
高松 ありがとうございます。BBTナイトGYMは、スポーツジムのように「自宅で脳に汗をかこう」というコンセプトを掲げていて、学びを楽しめる雰囲気を大事にしています。
 そもそもBBTナイトGYMは、ビジネス・ブレークスルー(BBT)が今年5月から始めたオンラインの参加型ビジネスプログラム。
 問題解決の手法や、決算短信の読み方、企画力、リーダーシップ、最新テクノロジーなど、どんなビジネスパーソンにも必要な “ビジネス筋”を鍛えられる、様々なセッションを開催しています。
BBTナイトGYMのセッション風景。Zoomを利用したオンライン開催で、ライブ参加も、アーカイブ配信の視聴も可能だ。Zoomの機能を使い、少人数の部屋に分かれたディスカッションや、アウトプットの共有を行っている。
坪田 楽しい雰囲気は、具体的にどのように作り出しているんですか?
高松 単にテンション高く教えます、ということだけではないんです。
 BBTナイトGYMの最大の特徴は、インプットだけではなく、アウトプットもできる場であること。双方向のディスカッションやワークを多くのセッションに取り入れ、参加者はセッション中にどんどん発言してもらうようにしています。
 この「成果物に対するフィードバック」が、セッションを楽しくするポイントだと思っています。
 自分の成果物が褒められたら純粋に嬉しいし、主体的に参加できることでセッションの輪に入っていける。双方向の形式をとることで、飽きずに楽しんで続けられる環境を作れていると感じています。
開催されているセッションの事例(変更の可能性あり)。多彩なセッションが月に10回ほど開催される。この1時間に参加するだけで正しく“ビジネス筋”を鍛えられるとして、サービスの継続率は90%を上回るという。
坪田 講師が即時にフィードバックしてくれるのは、大事ですね。坪田塾でも常に意識している部分です。
 たとえばRPGのゲームなら、敵を倒せば「レベルが1あがった」と成長したことを知らせてくれますが、仕事になると「課題解決のレベルが1あがった」なんて、誰も言ってくれないじゃないですか(笑)。
 ビジネスの場では半期ごとの査定がありますが、半年に1度ってだいぶ少ないですよね。実際に取り組んだ時期とフィードバックのタイミングがずれているから、課題があっても改善できないまま仕事をせざるを得ない。
 たとえるならば、顔にゴミがついているのに、誰にも指摘してもらえず、ゴミをつけたまま生活している――。そんな状況です。
 人間は、フィードバックされるとすぐに改善しようとする生き物。ですからフィードバックをもらうのが早いほど、回数が多いほど成長につながると思います。
高松 誰でもそうだと思うのですが、フィードバックのときに上から目線で指摘されるのは、やはり嫌だなとも感じていて。
 だからこそBBTナイトGYMの講師は、「インストラクター」でありたいと考えています。“偉そうに教える”のではなく、一緒にアウトプットを考えてくれる存在。
 プロフェッショナルでありつつ、参加者と同じ目線でいてくれる人を、インストラクターとして迎えるよう心がけています。

1回の研修で本当に身につきますか?

── とはいえ、学んだことを仕事に活かせている実感を持つ人は、多くないのではと感じます。
高松 社会人になると不思議なことに、「繰り返し学ぶ」ことが軽視されてしまいます。
 子どもの頃は、同じような問題を何度も解いて練習しますよね。ですが大人が受ける研修って、ほとんど1回限りなんです。話を聞いて、あとは現場で実践してくださいと。でも、そんなにすぐ完璧な形で実践できるとは思えません。
 憧れる人の高度な知識やテクニックを盗もうと思ったら、やはり何回も繰り返しトレーニングするしかない。そうやって自分の血となり肉となった知識は、自然と仕事にも活きるようになります。
 たとえばBBTナイトGYMでは、マッキンゼーの元パートナーあり、現在、BBT大学副学長を務める宇田左近さんに、「企業分析」のセッションをしてもらっています。
 ご自身がどのように企業分析しているか、頭の中の思考回路を手書きで解説してくれるんです。完成するまでの生々しい考え方の道筋を見せてくれるので、すごく参考になります。
 そこで参加者は、今度は自分なりに企業分析をしてみるんですね。プロの頭の中を覗いてやり方を学んで、次に自分の手を動かしてみる。そのプロセスを繰り返すことで、自分の体に染み付いていくんです。
 公認会計士でM&AのアドバイザーをしているBBT大学教授の大原達朗さんが、アドリブで決算短信を1時間で読み解くというセッションも大人気。
 他にもアイデア発想、企画立案など様々な練習の場があり、トレーニングを重ねて徐々に「できるようになっていく」感覚を、皆さん楽しんでくれています。
 アウトプットすることで、自分がどこまで理解していて、何が足りていないのかを気づき、自分の現在地も都度確認することができます。
坪田 インプットの目的は、得た知識を社会で使うこと。アウトプットを前提にすることで、インプットの精度も上がるはずですし、入力と出力がセットになっているのは、効果的な学び方です。
 ですが人間は環境に依存してしまうので、1人きりで勉強していてアウトプットが続かないというのは普通のことなんです。
 長く続けるためには、まずはBBTナイトGYMのように、自分で意識しなくても“アウトプットさせられる”環境に身を置いてみると良いと思います。
高松 今は不確実な要素が多く、「答えがない」といわれる時代です。自分の頭で考えることが求められている今、様々な知識をつなぎ合わせて自分なりの答えを導き出す必要があります。そして戦うなら武器は多い方がいい。
 ぜひBBTナイトGYMで総合的なビジネススキルを身につけて、怒涛の時代を生き抜いてほしいと思います。
坪田 様々な分野の知識を身につけて、「さあ行動に移そう」というときに必要になるのが、問題解決能力や企画力といった汎用的なビジネススキルです。
 学んで、成長して、行動して、人生を変えていく。自分の武器を磨きながら、カラフルで豊かな人生を歩んでほしいと思います。