[ワシントン 16日 ロイター] - 米連邦準備理事会(FRB)は15─16日に開いた連邦公開市場委員会(FOMC)で、国債などを買い入れる量的緩和策について、最大雇用と物価安定の目標達成に向けて「さらに著しい進展が見られるまで」継続すると表明、景気回復が確かになるまで大規模緩和を続ける姿勢を明確にした。

ただ、市場の一部で期待されていた追加緩和策は打ち出さなかった。

フェデラルファンド(FF)金利の誘導目標は0─0.25%に据え置いた。決定は全会一致。また、景気回復が完了するまでゼロ近辺の主要政策金利を維持すると改めて表明した。

月額1200億ドル規模の債券買い入れプログラムについては従来、「今後数カ月間」にわたり行うとし、終了時期に関して明確なガイダンスは示していなかったが、今回初めて経済状況と関連付けた。

パウエル議長は会見で、量的緩和の維持や事実上のゼロ金利継続に伴い「景気回復が完了するまで金融政策は引き続き経済を強力に支援する」と強調。ただ、家計や企業が直面する喫緊の問題に対応するには、FRBが有する政策手段が最適ではないことも認めた。

「経済の脆弱な部門は、接客を伴うサービス業だ」とした上で「これらの活動を抑えているのは、金融状況ではなく(新型コロナ)ウイルスの感染拡大だ」と指摘した。

失業者や苦境に陥っている事業者は、即座に使える現金を必要としていると続けた。議会の指導部は9000億ドル規模の追加景気対策を巡り詰めの協議を行っている。

パウエル氏は「問題は今後4─6カ月間だ」とし、来年の半ばごろにはワクチンの普及に伴い、人々が安心して幅広い活動をできているだろうとした。

一部のアナリストはFRBが資産買い入れペースを増額するか、買い入れ対象を拡大すると予想していたが、パウエル氏の発言で期待は後退するとみられる。

政策当局者の今年と来年の見通しは改善。今年の経済成長率見通し中央値をマイナス3.7%からマイナス2.4%に、来年はプラス4%から4.2%にそれぞれ引き上げた一方、来年の年末の失業率予想は5.5%から5.0%に引き下げた。

オックスフォード・エコノミクスの米国担当チーフ金融エコノミスト、キャシー・ボストジャンシク氏は「購入資産の年限長期化を予想していたが、そうならなかった」と指摘。「ただ、今回の量的緩和(QE)に関するフォワードガイダンスは、2つの責務(デュアルマンデート)に向けて、著しい進展があると判断されるまで買い入れ規模を維持するという点で、かなり強力なものとなった。ある程度明確になり、好ましい」と述べた。

主要米株価指数は概ね上昇し、ナスダック総合は最高値で取引を終えた。米債市場ではイールドカーブ(利回り曲線)がややスティープ化した。ドルは主要通貨に対して買われた。

パウエル議長は会見で、景気回復と失業率にある程度の進展が見られる一方、改善のペースは鈍化しているほか、職を手にしているか職を探している人の割合は新型コロナのパンデミック(世界的大流行)前の水準を依然下回っていると指摘。「春以降、労働市場には多くの進展が見られたが、なお何百万人もの人々が、仕事に就けないままであることを見落としてはならない」と述べた。

*内容を追加しました。