【山田五郎】お金の価値は平等ではない。価値基準を磨くためにすべきこと

2020/12/26
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価値判断を「金額」に頼ってはいけない
── 「良いもの」がわかるようになるには、まず何をしたら良いのでしょう?
まずは実際に見て触れて、買ってみる。これしかないと思います。例えば機械式時計の場合、ケースの色や質感、部品の仕上げの良し悪しなどは現物を見て、ゼンマイを巻いたりボタンを押したりするときの感触は実際に触れ、使い心地や耐久性は買ってみなければわかりません。
写真やスペックだけ見てもわからない違いが、実際に見て触れて買ってみれば、素人にも意外とわかるものなんですよ。ものにはグレードがありますから、上質とはこういうものかと実感を積み重ねていくことで、自分の中に判断基準ができてきます。
お金の使い方を知らない方は、値段で価値を判断しがちです。けれども「高いから価値がある」というのは順序が逆で、「価値があるから高い」ものを選ぶのが、上手なお金の使い方。
そのためには、物事の価値を見極める目が欠かせません。そしてその目を養うには、いいものにたくさん触れて経験を積むしかないのです。
山田 五郎/編集者・評論家 
1958年東京都生まれ。上智大学文学部在学中にオーストリア・ザルツブルク大学に1年間遊学し、西洋美術史を学ぶ。 卒業後、講談社に入社『Hot-Dog PRESS』編集長、総合編纂局担当部長等を経てフリーに。 現在は時計、西洋美術、街づくり、など幅広い分野で講演、執筆活動を続けている。
「お金の価値」は均一ではない
──価値がわからないものに出会うと、つい「金額」に注意が向いてしまうという人は多いのではないでしょうか。
すぐに値段を聞きたがる方、結構いらっしゃいますよね。それはお金の価値は平等だと誤解していらっしゃるからではないでしょうか。実際には、同じ1億円でも人によって重みが違います。
価値を判断する物差しの基準が人それぞれで違う以上、ある商品が100億円で売れたからといって、誰にとっても同じ価値があるとは限りません。まして趣味の世界では、価値は自分が決めるもの。その絵画をその価格で「欲しい!」と思ったら、それがその人にとっての価値なのです。
だから自分自身の判断基準を築くことが大切なんですよ。それがないと、金額や他者の評価に頼ることになり、自分だけのかけがえのない感動は得られません。
──自分の価値観や審美眼が試されるところですね。
自分の中にある価値基準、自分の好みで判断できるようになると、趣味の楽しさは格段に深まります。
そのためには、自分自身で経験を積んでいくしかないんです。ものにはグレードがあるといいましたが、趣味の素晴らしい点は、それぞれのグレードに合った楽しみがちゃんと用意されていて、どの段階でも同じように楽しめること。
金子みすゞの詩にあるように、「みんなちがって、みんないい」。お金は平等ではありませんが、趣味の楽しみはお金には換えられず比べても意味がないから、初心者も上級者も平等なんです。緊張したり失敗したりしながら、それぞれの段階を満喫し、一段ずつ上っていく。こんな楽しいことはありません。
──最後に、今回のプロジェクト参加者へひとことお願いします。
この企画では、茶の湯、落語、美術という伝統的な価値を、今の私たちの暮らしの中で楽しむための見方や情報を、それぞれの分野を代表する一流のプロに教えていただき、実際に体験もさせていただきます。
私自身、この年になって初めて深入りする分野もあり、ワンランク上の見知らぬ老舗に迷い込んだ感じでドキドキしていますが、きっとワクワクする新発見に出会えるはずと期待しています。皆さんと一緒に楽しんでいければと思っておりますので、どうかよろしくお願いします。
(構成:小俣荘子)
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