[アンカレッジ(米アラスカ州) 15日 ロイター] - 米国のトランプ政権が、民主党のバイデン次期大統領の就任前に、アラスカ州・北極圏国立野生生物保護区(ANWR)の鉱区リース権の売却を計画している問題で、環境保護団体と先住民族の団体が15日、売却の一時差し止めを求める訴訟を連邦裁判所に起こした。

ANWRは総面積770万ヘクタールで、ポーキュパイン・カリブーやホッキョクグマなどの繁殖地になっており、これまで数十年間、採掘活動は禁止されていた。ただ化石燃料産業の振興を目指すトランプ大統領はこの地域の開発を目玉政策の1つに掲げ、2017年に議会で与党・共和党が主導して石油・ガスの鉱区リース権を通じた開発に道を開く法案を可決。今年8月にはANWRで石油・天然ガス採掘を認める最終的な計画をまとめた。

内務省は来年1月6日までに鉱区リース権の売却を行う方針を示している。

原告側の訴えが認められれば、ANWRの開発を巡る決定が、バイデン次期大統領の就任する来年1月20日以降に先送りされる可能性がある。バイデン氏はANWRでの掘削に反対している。