[ワシントン 15日 ロイター] - 米連邦準備理事会(FRB)が15日に発表した11月の鉱工業生産統計は、自動車生産の拡大を受けて製造業生産指数が0.8%上昇し、市場予想の0.3%上昇を上回った。ただ、新型コロナウイルス感染急増で工場などが再び閉鎖に追い込まれていることから、生産の勢いが鈍る恐れもある。

前月分は当初の1.0%上昇から1.1%上昇に改定された。

INGのチーフ国際エコノミスト、ジェームズ・ナイトリー氏は「新型コロナ抑制措置は今後数カ月間で大きな経済的影響をもたらす可能性が高く、製造業が免れることはないだろうが、大都市の消費者サービス業よりは直接的な影響ははるかに劣るだろう」と述べた。

自動車生産が5.3%上昇に回復。前月まで3カ月連続で低下していた。自動車を除く製造業生産は0.4%上昇。10月は1.3%上昇だった。

PNCフィナンシャルのチーフエコノミスト、ガス・ファウチャー氏は「過去最高の新型コロナ感染者数と財政刺激策の欠如が来年初めの米経済を圧迫するため、生産は当面軟調に推移するだろう。ただ、ワクチン配布が全体的な経済成長を後押しし、2021年半ばまでには活動が回復するはず」とした。

製造業生産の内訳では、一次金属やコンピューター・電子機器、航空宇宙、輸送用機器が上昇に寄与した一方、消費財や業務用品が重しとなった。

鉱工業生産は全体で0.4%上昇。予想は0.3%上昇、10月は0.9%上昇だった。鉱業生産は2.3%上昇と10月の0.7%低下から回復。石油・ガス採掘が8.3%上昇し、3カ月連続の上昇となった。

公益は4.3%低下。例年より気温が高く暖房需要が減少した。10月は1.8%上昇だった。

企業がどれだけ資源をフル活用しているかを示す稼働率は、製造業が0.6%ポイント上昇の72.6%。全体の設備稼働率は73.3%と、前月の73.0から上昇。予想の72.9%を上回った。ただ、1972─2019年の平均を6.5%ポイント下回った。

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