[北京 15日 ロイター] - 中国国家統計局が発表した11月の鉱工業生産は前年同月比7.0%増加し、市場予想と一致した。増加は8カ月連続。新型コロナウイルス危機で打撃を受けた製造業は堅調な輸出に支援され、回復が進んでいる。

増加率は20カ月ぶりの高水準。消費の回復に加え、主要貿易相手国が新型コロナの流行に伴う制限措置を段階的に緩和したことが寄与した。

10月の鉱工業生産は6.9%増だった。

11月の小売売上高は前年比5.0%増加。市場予想の5.2%増をわずかに下回った。10月は4.3%増加していた。

1─11月の固定資産投資は前年比2.6%増加し、市場予想と一致。1─10月の1.8%増から伸びが加速した。

キャピタル・エコノミクスのジュリアン・エバンス・プリチャード氏はリポートで「11月の中国経済はすべての分野で加速が続いた。刺激策と輸出という追い風は弱まり始めるとみられるが、生産は今後数四半期、トレンドを上回る水準を維持すると予想している」と述べた。

鉱工業生産では、非鉄金属の生産が月間で記録的な高水準となった。製造業や建設業で使われる非鉄金属の生産が引き続き高水準で推移している。

国家統計局の報道官は会見で、来年の成長率が「比較的高い」水準になると予想。ただ、これは比較対象となる前年の水準が低いためで、経済に大きな変化はないとみられるという。

同報道官は、景気回復に伴い、一部の政策を調整する可能性があるとも発言した。

INGの大中華圏担当チーフエコノミスト、アイリス・パン氏は「来年の経済成長率は7%、今年は1.7%と予想している」と述べた。

中国経済は、好調な輸出などを背景に新型コロナ危機から目覚ましい回復を遂げている。

11月は電子商取引大手が恒例のセールを実施したことも消費拡大の一因となり、小規模工場の受注も一段と増えた。

11月は自動車販売が11.8%増、家電販売が5.1%増、通信機器販売は43.6%増だった。

総投資の6割を占める民間固定資産投資は1─11月に0.2%増加。1ー10月は0.7%減だった。

中国経済は第4・四半期に入り、回復ペースが加速しているとみられる。需要増加、与信拡大、景気刺激策が背景だ。

ただ、中国はコロナ禍からの景気回復ぶりが突出しているが、世界的な輸送用コンテナの不足がその勢いを鈍らせようとしている。コンテナ運賃は過去最高に跳ね上がり、製品を輸出するメーカーは、せっかくの需要急増に思うように応じられない状態だ。

*内容を追加しました。